今季限りでの現役引退が発表された中日福留孝介外野手(45)が8日、名古屋市のバンテリンドーム内で会見を開いた。

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後ろ指をさされることもあったという。15歳で鹿児島の大隅半島から遠く離れたPL学園に入学した。地元有力校の誘いを断って全国屈指の強豪校へ。当時は前代未聞の出来事だった。決断したのは野球チームの監督でもなければ、両親でもない。福留自身だった。「3年間、1度もレギュラーになれないかもしれないけど、もしかしたら誰かが見てくれているかもしれない」。そう言い残して大阪に向かった。

選手としてもっとも形容されたのが「勝負強さ」だろう。足が震えそうなシビれる場面でも「チャンスが来たら自分に回ってこいと思って見ている」と平然と話す。迷いがない。そこには練習に裏打ちされた自信があった。15歳のあの日から30年がたっても変わらない覚悟があったように思う。

引退会見の映像を見ていて「オレね。さっぽろ雪まつりに行ってみたい」という言葉を思い出した。引退したら何をしたいか? そんな話になったときの答えだったと思う。北海道の大イベント。ちょうどプロ野球のキャンプインと重なって訪れたことがなかった。引退後も忙しくしている姿が目に浮かぶが、少しでもゆっくりしてほしい。【桝井聡】