かつての「守護神」がチームVロードを明るく照らす「先導役」となった。ソフトバンク森唯斗投手(30)が緊急登板となったプロ初先発マウンドで3回50球を投げ、太田のソロ1発の1失点投球で必勝バトンをしっかりつないだ。

予告先発の奥村が右肘痛のため回避。急きょ、先発登板を指名された森は慌てることはなかった。クローザーとして何度も修羅場をくぐり抜けてきた経験はダテではない。初回、3人で切ると2回も先頭島内を一ゴロ。辰己、鈴木大はフォークで空振り三振に仕留めた。球速も149キロの直球にカットボール、フォーク、そして120キロ台のカーブも多投。力で押すだけでなく緩急も巧みに駆使した。3回2死までパーフェクト。9人目の打者太田に147キロの直球を左翼席に運ばれたが、リードを守ってバトンを渡した。

「初めての先発だったけど、すんなりゲームに入れた。最初はちょっと緊張したけど、すごく楽しい時間だった。欲を言えば無失点で終えたかったですが、試合を作ることができて良かったです」

プロ9年目。登板461試合目での先発はプロ野球史上最も遅い。来季以降の「先発転向」も視野に入れる森にとっても大きな収穫になったことは確かだ。今季は不調もあって2軍落ちも経験。公称100キロあった体重も今は約10キロ減で心身ともにコンディションは良好だ。「行け、と言われればどこでも投げますよ。とにかく1イニング1イニング、1人1人のつもりで」。鉄腕と呼ばれる男は、涼しい顔でキッパリと言った。

▼プロ9年目のソフトバンク森唯斗投手が通算461試合目にして初先発し、史上最も遅い初先発となった。これまでは、19年9月27日マシソン(巨人)の通算421試合目だった。

【関連記事】ソフトバンクニュース一覧