<中日3-9巨人>◇23日◇バンテリンドーム

巨人の3年目左腕・井上温大投手(21)が、プロ初勝利を挙げ、チームは球界史上初となる1シーズン8人目のプロ初勝利をマークした。

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巨人井上をライバル視する大学生が東北にいる。仙台大の橋本優雅投手(2年)。前橋商(群馬)時代、井上の1学年後輩のエースで、年末年始は焼き肉をおごってもらうなど、頻繁に連絡を取る弟分。高校時代は最速145キロ右腕として県4強入りし、プロ入りを目指して進学した。しかし負傷が重なり、7月には右肘を痛めて手術。1年近く実戦から遠ざかっている。

西武内海が井上の師匠なら、橋本にとってはリハビリから復活した井上が師匠だった。「『復帰したときに進化していられるよう、トレーニングは頑張れ』と言われた。普段はほんわかしているけど、スイッチが入ったら別人です」と真剣なアドバイスが染みた。小さな変化も、感覚の違いも必ず毎日野球ノートに書くこと。栄養の勉強をして、食事もトレーニングだと思うこと。プロの意識を間近で体感して吸収する。

この日もいつも通り先輩の登板をテレビ観戦。ようやく勝つ姿を見られた。「こっちが興奮して汗だくになりました。負けたくない、いつかはプロの1軍で投げ合って勝ちたい気持ちが強くなりました」。井上の活躍が1人の男に火を付けた。【巨人担当 小早川宗一郎】