王手ヤ!! ヤクルトが2位DeNAとの直接対決を制し、マジックを2として2年連続9度目のリーグ優勝に王手をかけた。試合開始前から激しく降った雨の影響で、午後6時開始予定を3度繰り下げても整備が間に合わず、同7時30分にスタート。1時間30分の開始遅れはセ・リーグ最長だった。本拠地神宮での胴上げのため、復旧作業にあたったスタッフの労に報いるべく、チームは15安打8得点で投打に完勝。球団一丸となった「チームスワローズ」が、結束力を発揮した。25日の第3戦に勝てば優勝が決まる。

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“神宮園芸”の球団、球場スタッフ総出の整備に応えるように、ヤクルトは序盤から試合を優位に進めた。1回先頭の塩見が右中間を破る二塁打で出塁すると、DeNA大貫の暴投で三塁進塁。山崎の中前適時打で先制した。2回にはオスナが左翼席へ2試合連発の18号ソロ。3回にもオスナの犠飛、宮本の右前適時打で3イニング連続得点を挙げた。

開始前、土砂降りの雨により大量の雨水が外野フェンス際にたまった。整備員はもちろん、ワイシャツに革靴の球団関係者も含め、約50人が集結。モップやトンボ、バケツにごみ箱を持ち寄って水をかき出した。さらには電動ポンプ機3台を“池”に入れてくみ上げ、まさに「池の水ぜんぶ抜く大作戦」を敢行した。

懸命の作業により水がなくなり、試合開始のメドが立つと、見守っていたスタンドから大きな拍手が起こった。高津監督も「長く神宮でプレーさせてもらってますけど、あんなに水がたまるのは初めて。遅れてでもプレーボールがかかったのは、本当に作業してくれたみなさんに感謝しています。大変だったけど、いい1日だったと思います」と関係者の労をねぎらった。

日本選手最多の56号本塁打の期待がかかった村上は、第1打席で空振り三振。3回1死一、二塁ではDeNA大貫に対し、初球が暴投となり走者が二、三塁に進塁。一塁が空いたところで申告敬遠となった。5回1死一塁の第3打席では、田中健から中堅右を鋭い打球で破る二塁打。1死二、三塁とチャンスを広げ、オスナ、宮本の連続適時打につなげた。13日巨人戦で55号を放ってから8試合、36打席ノーアーチでも、3戦ぶり安打は安心材料だ。

主砲が厳しいマークに遭う中でも、前後の打者がフォローするようにつないで得点を積み上げた。高津監督も「今日はよく機能した」とうなずいた。昨年は横浜での敵地胴上げだったが、7年ぶりとなる本拠地Vへの思いは強い。高津監督は「強く勝ちたいと思っています」と言葉に力を込めた。【鈴木正章】

◆雨からの復旧経過 午後4時30分頃に雨が強まり、DeNAが屋外練習を取りやめた。5時過ぎ、試合開始を「6時20分」にするとアナウンス。その後、5時半過ぎに「6時45分」、6時前には「7時」と開始時間変更のアナウンスがあった。6時過ぎから、両ファウルゾーンブルペン周辺の水のかき出しを開始。6時20分頃には雨はほぼやみ、両チーム選手がグラウンドに登場。7時ごろから、外野スタンド沿いの水たまりを処理すべく、50人ほどのスタッフ総出で排水作業。電動ポンプは右翼側ブルペン常備のものだが、あるスタッフは「ここまでの水たまりは初めて」。懸命の復旧作業で7時半の開始にこぎ着けた。

○…ヤクルトが本拠地の神宮球場で優勝を決めた場合、同球場でビールかけを行うことが決まった。ファンの目の前で歓喜の瞬間を分かち合う。

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