ヤクルト内川聖一内野手(40)が28日、神宮球場で会見を行い、今季限りで現役を引退することを報告した。

3球団で通算2185安打をマークした内川は、安打から本塁打を求める現代野球への対応に苦慮したことを明かすとともに、NPB以外でのプレー続行に含みを持たせた。

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-引退決断の理由

ここ何年間かずっと、そろそろかな…という気持ちで、NPBという第一線では厳しいなと感じました。ヒットを打つために一生懸命バッティングを作ってきましたけど、ここ最近の野球界は基本的にホームランを打つためのバッティングをしながら、ヒットを打つことに変化してきているんじゃないかと。その変化に対応しきれなくなってきたのも正直なところです。

-ソフトバンク時代は4度のリーグ優勝と6度の日本一

本当にたくさんの経験をさせてもらったなと思います。メンバーにも恵まれましたし、本当に監督、コーチ、関係者の方に恵まれての優勝だと思いますので、本当にいいプロ野球人生を送らせてもらったなと。

-09年WBCで世界一

無我夢中でしたね。1回目は野手最年少で、2回目はレギュラーとして。3回目は代打という形でも使っていただきました。一番忘れられないのは、日本を離れて「君が代」を聴いた時に、自分は日本人なんだと改めて感じましたし、日の丸を背負うというのはこういうことなんだと。

-その経験をした先輩として伝えたいこと

野球をやることを、試合をやることを怖いと思った。日本代表として。それを教えてもらったことで、さらに野球と正面から向き合うきっかけをもらった。ぜひそういう舞台を経験してもらいたい。

-ヤクルトで過ごした2年間は

自分の持っているものを発揮できず終わってしまったなという申し訳なさが残っている。思い切りやらせてもらえる環境を作っていただいた球団には本当に感謝しかありません。

-第2の人生は

生まれたときから父が高校野球の監督をやっていました。僕自身を作ってくれた野球に感謝しないといけないと思いますし。どのように野球に恩返しできるのかというのを考えながら、自分自身、今後の人生を作っていければいいなと思います。

-「NPBから引退」と含みを持たせているが

答えとしては微妙になりますね(笑顔)。40歳で野球をやっているのはすごく面白い。この気持ちを持ったまま選手として終わりたくないというのは正直あります。違うカテゴリーになってもプレーしたい気力を持っているのかは、正直なところ分からないです。やれるならやりたいという希望を持っているのと同時に、やりたいことと、やれることが変わってくる可能性もあるので。そういう話がもしあれば前向きに考えたいと思いますけど、絶対ユニホームを着てやりたいとは言えないし、絶対ユニホーム着てプレーしないとも言えない。すみません、あいまいで。でも野球が好きなんですよね。

◆内川聖一(うちかわ・せいいち)1982年(昭57)8月4日、大分県生まれ。大分工では甲子園出場なし。00年ドラフト1位で横浜入団。08年に右打者最高打率で首位打者、最多安打、最高出塁率。10年オフにFAでソフトバンク入り。11年に史上2人目の両リーグ首位打者でパ・リーグMVP。20年限りでソフトバンク退団、21年からヤクルトでプレー。ベストナイン5度。ゴールデングラブ賞1度。09、13、17年WBC日本代表。184センチ、92キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸4000万円。