締めは主砲の一撃だった。オリックス吉田正尚外野手(29)が7回、右翼越えにソロを打ち込んだ。5点差に広げるアーチで、初戦勝利を決定づけた。

膝元に鋭く食い込む甲斐野のスライダー。見逃せばボールどころか脚に当たりかねない球を、両足で踏ん張りながら思い切りすくい上げた。「うまくボールの下にバットが入ってくれた。ぎりぎりでしたけど、なんとかスタンドまで届いてくれてよかった」と、技ありの一打に満面の笑みを浮かべた。

プロ入り後初のポストシーズン進出だった昨年は計9試合で本塁打がなかった。9月に7本塁打の猛打でレギュラーシーズンを終えた4番打者は、CSファイナルにも勢いを持ち込んだ。4回にも先制点につながる中前打を放っていた。

今季の出塁率はリーグダントツ4割4分7厘。4割台は12球団でヤクルト村上と2人だけ。4番に座る吉田正の「出塁」を前提として日替わり打線の並びが決まっていく。4回、5回は背番号7がしっかり得点に絡んだ。「1点でも多く、なんとか投手陣を助けて、楽にゲームを運べるように野手陣は頑張っています」。たぐいまれな打撃技術が生み出すものは本塁打だけではない。オリックスの強みを示した。【柏原誠】

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