村神様もビックリ弾でヤクルトが追いつき、試合時間5時間3分の執念ドローにした。「SMBC日本シリーズ2022」第2戦は、ヤクルト内山壮真捕手(20)が9回、シリーズ初打席初本塁打となる代打同点3ラン。3点を追う無死一、二塁で、オリックス阿部から左翼席へ起死回生の同点弾を運んだ。高卒2年目捕手が、土壇場で大仕事。延長12回を戦って引き分け、対戦成績は1勝1分け。試合時間はシリーズ史上2番目の長さだった。

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土壇場から一振りで流れを引き戻した。0-3の9回無死一、二塁。内山壮はオリックス阿部に対し2球で2ストライクと追い込まれるが、慌てない。3球目のカットボールをファウルとすると、4球目、5球目のスプリットをきっちり見極めた。カウント2-2。6球目の真ん中高め141キロ直球をフルスイングした打球は、燕党の歓声に乗り、左翼席に弾んだ。

さっそうとダイヤモンドを周回し、ベンチのナインとハイタッチ。「腹をくくっていくしかないと思ってました。1年間、1軍で試合に出させていただいて、その経験が今日の1打席に詰まっていたと思います」と納得の表情を見せた。

171センチ、71キロと体は小さいがパンチ力が持ち味。今季初めて開幕1軍入りを果たし、高卒3年目の長岡らとともに「ヤングスワローズ」として奮闘した。今季74試合に出場し、打率2割3分2厘、4本塁打、19打点。貴重な1軍戦力となった。「たくさん経験できているので、すごくいい1年になっている」と振り返るが、CSファイナルステージでは1試合、代走のみ出場で打席も守備機会もなし。迎えた日本シリーズの大舞台で最高の結果をもたらし「すごくうれしいですし、自分にとってもすごく財産になるんじゃないかなと思います」と素直に喜んだ。

星稜(石川)では2年時から4番に座り、1学年上の奥川とともに夏の甲子園準優勝。2年夏は遊撃手だったが、同秋から捕手に復帰。プロの世界では、春季キャンプでも指導を受けた元監督の古田敦也氏のような「打てる捕手」を目標に掲げる。右と左、体格の違いはあるが、3学年上の主砲村上からも助言を受ける。「スイングの軌道であったり、どういう打ち方をしてるのかを聞いてます」。

5月24日日本ハム戦(神宮)のプロ1号も、8回2死からの代打弾だった。「高津監督から『小さくならず思い切ってプレーしなさい』と常日頃、言われてるので伸び伸びプレーしていきたい」と肝に銘じている。1勝1分けで勝負の舞台は移るが「しっかり自分の仕事をできればなと思います」。小さな体で大きな結果を残していく決意だ。【鈴木正章】

◆内山壮真(うちやま・そうま)2002年(平14)6月30日、富山県生まれ。星稜では1年から遊撃手のレギュラー。2年夏に甲子園準V。同年秋から捕手に転向し、3年から主将。高校通算34本塁打。20年ドラフト3位でヤクルト入団。21年4月8日広島戦で初出場。同年フレッシュ球宴でMVP。今季は74試合で4本塁打、19打点、打率2割3分2厘。171センチ、71キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸600万円。

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