故沢村栄治氏を記念し、シーズンでも最も活躍した先発投手を表彰する「沢村賞」の選考委員会が24日、都内で開かれ、オリックス山本由伸投手(24)が全会一致で選出された。2年連続2回目の受賞。2年連続受賞は、17、18年の菅野(巨人)以来だが、パ・リーグの投手では初めてだ。

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山本の2年連続受賞は文句なしだった。全投手最多の5項目をクリア。未達の2項目も完投4は両リーグ2位タイ、投球回数193は両リーグ最多だった。ただ、あまりにあっさり決まったがゆえ、選考委員からは注文が付いた。堀内委員長は「対抗馬がいない。1人しか選びようがない。選考する方は楽かも知れないが、寂しい気がしないでもない」と率直に話した。

そんな中、期待を集めたのがロッテ佐々木朗だ。4月に完全試合を果たした20歳を全委員が絶賛。しかし、ここでも期待の高さゆえの注文が付いた。20試合登板に終わったことで、平松委員は「もったいない。ある程度1年間、7、8回、投げて13勝ぐらい挙げたら、山本とひっくり返ったなというぐらい」。堀内委員長は完全試合の次の登板で、8回完全のまま降板したことに触れた。「なぜ、9回までいかせなかったのか。うがった見方をすれば、あの160キロを投げるのは相当、体に負担がかかっているのでは」と推察した。

リリーフも含め、できるだけ負担を減らすのは球界のトレンドではある。そこを踏まえ、山田委員は日本ハム新庄監督に期待した。「登板間隔を縮めて故障させたら監督、コーチ、フロントに原因があるという風潮。これを変えられるのは新庄監督ぐらいしかおらんなと思う。100球でやめさせ、次も中4日。アメリカのようなシステムに思い切ってチャレンジする首脳陣が現れないか。うまくいけば、試合数も増え、勝ち星も増える」。

レジェンドからすれば山本の26登板、15勝でも、やや物足りないようだ。山田委員は若い時期に体力を付ける重要性を強調。その上で「投げすぎが故障につながるという意識は結構だが、それが強すぎたらまずいんじゃないか。日本の野球はピッチャーに甘いものになっていく」と警鐘を鳴らした。【古川真弥】