<SMBC日本シリーズ2022:オリックス1-7ヤクルト>◇第3戦◇25日◇京セラドーム大阪

オリックスは苦しくなった。走者の出ない展開で「ナカジマジック」も見せ場がない間に山田哲人の1発で3点を先制された。これでは手の打ちようがなくなってしまう。

最初にチャンスをつくったのはオリックスだ。4回、吉田正尚の左前打、宗佑磨の二塁打で1死二、三塁。ヤクルト守備陣は思い切った前進守備だ。ここで2試合目までと変わり6、7番に入った中川圭太、杉本裕太郎が連続空振り三振。これは痛かった。

これでオリックスの2敗1分け。戦績に比べ、ここまで両軍の放った安打数は興味深い。3試合でオリックスは31安打、ヤクルトが33安打。2戦目までは接戦だったものの、大差のついたこの日を含めても安打数に大きな差はない。

違うのは言うまでもない長打、本塁打だ。ヤクルトはこの日、山田が本塁打したことで、すでに5選手が1発を記録。得点のほとんどが本塁打によるものだ。対してオリックスはまだ本塁打が出ていない。

ヤクルトの今季チーム本塁打数は174本でリーグトップ。対してオリックスは89本塁打でパ・リーグの最少。この差がはっきりと出ている。

もう1つ、両軍で象徴的なのは“助っ人”だろう。指名打者を使えるパ・リーグ本拠地試合でサンタナをDHに入れ、左腕・宮城大弥への対策か左翼にキブレハンを入れてきた。外国人3人がラインアップに並ぶ相手に対し、オリックスは助っ人ゼロ。これは短期決戦の行方に少なからず影響をもたらすかもしれない。

「しっかり振っていけと言っているが中途半端なスイングが多い。プレッシャーなのか。なかなか手が出てこない」。指揮官・中嶋聡はそう嘆いたようだ。こういう状況で助っ人が役立つ場合は多い。「チームの勝利」とは口にしても本音では自身の成績が一番。それが余計な重圧につながらないことも多いからだ。

イチローが躍動した96年のオリックス-巨人の日本シリーズ。4勝1敗で巨人を下した同シリーズのMVPは4番打者のニールだった。本塁打を放ったわけではなく、連勝した1、2戦で2点適時打を放ったことが評価されたのだが。

チームの特徴としてオリックスは接戦に持ち込むことが必要だ。それでも、やはり本塁打、長打は欲しい。流れを変えるためにもここは吉田正、杉本ら国産長距離砲の奮起が必要だ。(敬称略)