プロ21年目のヤクルト石川雅規投手(42)が、惜しくも金字塔に届かなかった。3回先頭に死球を与え、2死二塁で迎えた杉本に先制適時打を許した。初回先頭二塁打を浴び、得点圏に走者を背負うこと9打席目。しのぎ続けたピンチだったが、ついにとらえられた。これが決勝点となり「やはり先制点を取られたのが全てです」と1点に泣いた。

5回2安打1失点での降板。結果は黒星でも、42歳9カ月の経験値を凝縮した。最速は134キロ。投球術を駆使し、初回は杉本から空振り三振を奪った。吉田正にも安打を許さず。劣勢の状況下、プレートを外し何度も「間」をつくった。「しっかりとゲームメークすること。昨年のように自分に勝ちがつけばうれしいですけど、なんとか先発としてゲームをつくるのが一番」。50年若林(毎日=42歳8カ月)のシリーズ最年長記録には届かなくても、スタイルを貫いた。

何度味わっても日本シリーズは格別だった。4度目のシリーズ登板。初勝利は昨年第4戦、同じオリックスに6回1失点でつかんだ白星だった。15年は2試合先発して2敗。「一番長くユニホーム着てやれるのは幸せなこと。そこはやっぱり、日本シリーズにかけるものっていうのは、特別なものがある」。リーグ戦後、CS登板がなく日本シリーズまでの調整期間では、頂上決戦を見据えてきた。

先制点を与えても動じることなく、4回は3者凡退に抑え反撃を待った。マウンドでは何度も汗を拭い、ロジンを左手でたたき、気持ちをリセット。小さな大投手の魂を込めた88球だった。【栗田成芳】

▼先発した42歳9カ月の石川が敗戦投手。シリーズで40代投手の黒星は06年<2>戦山本昌(中日)以来で、石川は50年<4>戦若林(毎日)の42歳8カ月を抜く最年長黒星。ヤクルトは40歳9カ月の青木も6番左翼で先発出場。同一球団の40代選手が同一試合に2人出場するのは、92年<6>戦ヤクルトの杉浦(代打)と八重樫(代打)93年<6>戦ヤクルトの杉浦(代打)と八重樫(代打)11年<4>戦中日の谷繁(8番捕手)と佐伯(代打)に次いで4度目。2人が先発出場は初めてだった。

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