オリックスが劇的なサヨナラ勝ちで、日本シリーズを振りだしに戻した。

1点を追った9回、先頭の代打・安達了一内野手(34)がヤクルトの守護神スコット・マクガフ投手(32)から四球を選んで出塁。犠打で1死二塁とし、西野真弘内野手(32)が投手強襲の内野安打。これがマクガフの一塁悪送球を呼び、二塁から安達が同点のホームイン。なおも2死一塁で、吉田正尚外野手(29)が右翼へサヨナラ2ランを放った。

流れが二転三転する試合だった。先発の田嶋大樹投手(26)が2回までに2失点。だが0-2の4回に、好調の紅林弘太郎内野手(20)が適時中前打、続く若月健矢捕手(27)も左翼線適時二塁打で追い付いた。

5回には、当たりが止まっていた吉田正が一時勝ち越しのソロを放った。自身、シリーズ通算11試合目で初の1発。今シリーズのチーム1号でベンチは盛り上がり、一気にオリックスのペースになるかと思われた。

だが6回に近藤大亮投手(30)が適時打2本を打たれ、3-4と再逆転された。6回以降はヤクルトの救援陣の前に沈黙した。敗色濃厚な最終回の逆転サヨナラ劇でヤクルトの王手を封じ、2勝2敗1分けで敵地の神宮に再び乗り込む。

▼オリックスがサヨナラ勝ちで2勝2敗1分けのタイに戻した。2勝2敗(引き分け含む)のシリーズは16年以来28度目。過去27度のうち、オリックスのように追い付いたチームの優勝は12度でV確率44%になる。サヨナラ勝ちで2勝2敗に追い付いたのは62年東映、64年南海、94年西武、03年阪神、12年日本ハムに次いで6度目。過去5度のうち62年東映と64年南海は日本一になったが、オリックスはどうか。

▼オリックス吉田正尚がサヨナラ本塁打を放った。シリーズのサヨナラ本塁打は18年5戦柳田(ソフトバンク)以来17人、18度目で、オリックスでは初めてだ。吉田正は昨年1戦でサヨナラ二塁打。シリーズのサヨナラ勝ちは昨年1戦オリックス以来41度目(オリックスは3度目)だが、サヨナラ打を2本記録したのはハドリ(南海)が64年4戦と66年5戦に次いで2人目。2年連続でサヨナラ打を放ったのは吉田正が初めてになる。吉田正は、5回には2-2から勝ち越しの1発。サヨナラ弾を含む1試合2発は03年4戦金本(阪神)に次いで2人目。サヨナラ弾を含む殊勲アーチを1試合2本は初めてのケースだった。

▽オリックス中嶋監督(吉田正のサヨナラ弾に) いや、終わったなと。いろんなミスとかありましたけど、最後こういう形になれたのは本当に良かったですけど、もう1回締め直します。なかなか勝てなかったですけど、これでタイになりました。あとは勝ち抜くだけだと思います。