難関校受験のはずの高校生活に、レボリューションを起こした。ロッテの育成ドラフト1位、浦和麗明(埼玉)の吉川悠斗投手(17)が5日、さいたま市内の同校で榎スカウト部長らから指名あいさつを受けた。最速143キロ左腕は「言われたところでどこでもできる投手になりたいです」と謙虚に入団意思を示した。

英検2級の1次試験を通過して間もない左腕は、誠実にスカウト陣や報道陣を迎え入れた。緊張からか少々硬い表情の背後、学校の正面玄関横に「レボ☆リューション!!」と書かれた派手な色紙がある。吉川は「秋の大会と重なって、行けなかったんですよ」と少し残念そうに振り返った。

コロナ禍で文化祭が中止になり、学外のホールで文化発表会が行われた。そこにスペシャルゲストで登場したのが地球儀回しでおなじみのお笑い芸人、宇宙海賊ゴー☆ジャス。「生徒会役員が自分たちで芸能事務所に交渉して、話をまとめてくれたんです。手前みそですが、本当にしっかりした生徒が多くて」と矢菅隆校長(48)。当日に数十枚もらったサイン色紙は、教室など校内各所に飾られているという。

抱腹絶倒の「マダガスカル」を生観覧できなかった吉川はしかし、その秋季大会で魔球チェンジアップを解禁し、埼玉大会ベスト8入り。「スカウトの方々もいらっしゃるようになって、プロ野球を意識するようになりました」と急成長。浦和麗明に入学したのも「進学校で、野球はそんなやるつもりはなかったというか」との理由だったが、最後はプロ9球団から調査書が届くまでに。3年間で劇的に人生が変わった。

元女子校で、共学開始から5年後の今も女子生徒の比率がやや多い。そこにプロ野球選手誕生となれば、さぞかし「君のハートに…」状態だろうか。「いや、そんなに」と苦笑いし、サインも「書き方分からないんで…普通に名前書くくらい」と初々しい左腕は、どんな進化を遂げていくか。こんな展開ファンタ☆スティックな夢をつかみたい。【金子真仁】