春輝の呼吸で「北の海猿」になる。日本ハムドラフト6位の日本製紙石巻・宮内春輝投手(26=明星大)が11日、宮城・石巻市内で仮解約を結び、契約金2500万円、年俸850万円(金額は推定)で合意した。26歳のオールドルーキーは「自分がやってきたことを信じ、情報の取捨選択をしっかりできるような選手になりたい」と落ち着いた口調で話した。

最速152キロの右横手投げ右腕。10日の侍ジャパン-オーストラリア戦をテレビ観戦し、9回に登板した同じ横手投げの巨人大勢に注目した。150キロ台の直球で3者連続三振を奪ったシーンに「外国人打者相手にもストレートで空振り三振を取っていた。自分も(ストレートに)こだわっているので、プロでも大事にしていきたい」と刺激を受けた。

大勢が、軸足の右足かかとを上げる独特のフォームからも感じるものがあった。「あれで自分のリズムをつくっているのかと」。自身は、腕を振りかぶった際に息を吐き、左足を上げるときに腹に空気を入れる、こだわりの呼吸法を続けてきた。「僕はそれでリズムをつくっている。プロでも続けていきたい」と、ルーティンを貫く。

目鼻立ちがはっきりしており、チームメートからは俳優伊藤英明に似ていると言われている。伊藤が主演する海上保安官を主人公にした人気映画・ドラマシリーズに重ね「ピンチの時にチームを助けられる海猿のような投手になれたら」。球団は、セットアッパー候補としての適性を見定めており、海猿のように、窮地での冷静な立ち回りが、期待される。

現役時代、サイドスローだった建山義紀1軍投手コーチ(46)が新たにチームに加入したことも、プラス要素だ。「フォームの中で、どういうところを意識しているのか、試合ではどんな気持ちで投げているのか聞いてみたい」。06年に強力な中継ぎ陣の一員として日本一に貢献した同コーチからも積極的に学び、メンタル面やスキルの向上を図る。

出身は千葉も、社会人での4年間、東日本大震災で大きな被害を受けた宮城・石巻で過ごした。所属する日本製紙石巻の室内練習場周辺には、復興祈念公園や、東日本大震災の遺構として残された石巻門脇小や、慰霊碑など、当時のことを伝えるものが点在する。「震災から11年がたち、復興も進んでいるが、まだまだこれから。プロで活躍することで、石巻を活気づけられたら」。北の大地でブレークし、プロへの道筋をつくってくれた第2の故郷に、恩返しする。【永野高輔】

◆宮内春輝(みやうち・はるき)1996年(平8)5月25日生まれ、千葉・旭市出身。吉田小3年から吉田スポーツ少年団で野球を始め、中学時代は九十九シニアでプレー。多古から明星大を経て日本製紙石巻。入社1年目の19年は七十七銀行の補強選手として都市対抗野球出場。20年は日本製紙石巻で都市対抗出場。176センチ、75キロ。右投げ右打ち。血液型はAB。家族は母、妹。

【関連記事】日本ハムニュース一覧>>