ロッテのファン感謝デーが20日、ZOZOマリンで行われた。

新型コロナの流行が始まった20年2月15日付で、球団としてファンサービス自粛が打ち出された。1009日ぶりに、選手とファンの距離が近づいた。

室内練習場ではキャッチボールが行われた。

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◆29歳男性は植田将太捕手(24)らが相手だった。「とても和やかな雰囲気でした。ナイスボールと言われ気楽に投げられて、投手の気持ちも楽しむことができました。機会を用意してくれた球団と、できるようになった社会に感謝したいです」。帰り際、植田は最後まで手を振ってくれたという。

◆19歳男性は親友とともに参加した。6年前のファン感謝デーでは、先着順に間に合わず涙をのんだ。

この日は坂本光士郎投手(28)らが相手だった。「皆さん、相手のレベルに合わせて投げてくれていました。私にはカーブ、チェンジアップ、シュートと変化球も投げてくれました。私たちが興奮すると、その反応を見た坂本投手もうれしそうでした」。

選手に声を掛けたくても掛けにくく、もどかしい3年間。「お互いが前向きな気持ちで交流できる機会の復活はとてもうれしく感じています」。

別のファンは坂本からスライダーを投げられ「思い出になりました」と喜んだ。

◆高校でソフトボール部に所属する16歳男性は、学校の昼休みに硬球などでキャッチボールを積み、変化球も4種マスターして臨んだ。

中村奨吾内野手(30)らとキャッチボールをした。捕手ミットを持っていったら「ガチだね~」と言われたという。「1分20秒でしたが、選手と交流するイベントに初めて参加できて、興奮しました。来年も参加したいです」

◆10代男性は、角中勝也外野手(35)らが相手だった。軽い球を使ってのキャッチボール。初球が少し浮いてしまった。

「暴投になってしまったんですが、選手の方々が笑って返球してくれて。それ以降、良い球が投げられたら『ナイスボール』と言っていただきました。とても楽しめました。クールなイメージがあった角中選手に盛り上げていただいて、より楽しめました」

角中の盛り上げっぷりは、周囲からも注目されていたという。

◆プロ野球選手を目指している8歳男児は東妻勇輔投手(26)とキャッチボールをし、ますます夢を膨らませた。

「すごく緊張しました。でも、本気で思い切り投げました。東妻選手が『おおー、良い球!!』と言ってくれてうれしかったです」

◆40代女性は山本大斗外野手(20)らの対応が印象に残っているという。

「とてもにこやかに接していただき、うれしかったです。お話はできませんでしたが、本当に楽しそうに笑顔で投げてくださったのが印象的でした。どんな環境でも、目の前のことを楽しんだり、笑顔でいることは大切だなとあらためて思われました」

◆キャッチボール以外に写真撮影会も行われた。山本らと撮影した女性は「私のタオルに気付いて会釈をくださりました。撮影の順番が来て、まっすぐあいさつしてくださり、ポーズを決める時にずっと目を見てやりとりしてくださいました」とすっかりファンになった様子だった。

◆30代女性は荻野貴司外野手(37)らと写真を撮った。「荻野さんはファンが来るたびに、よろしくお願いします、ありがとうございます、を丁寧に言ってらっしゃいました。ついたて越しだったのですが、とても優しく接してくださって」

近くではキャッチボールの様子も見えた。岡大海外野手(31)が幼児相手に、下からトスするように優しく接していたのが印象的だったという。

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一気には無理でも、少しずつ元に戻っていくプロ野球のファンサービス。たとえ小さな交流であっても、一生の思い出にするファンはたくさんいる。【金子真仁】