7球団が競合したドラフト会議から5年。「年男」の日本ハム清宮幸太郎内野手(23)が、新春インタビューで、昨季史上最年少の3冠王に輝いた同学年ヤクルト村上宗隆内野手(23)にライバル宣言した。狙うのは“村上超え”のシーズン本塁打。そしていつかは、ともにメジャーへ-。新本拠地「エスコンフィールド北海道」が誕生する今年、大きな夢へ向けて、ウサギのごとく、ピョーンとジャンプアップだ!【取材・構成=中島宙恵】

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笑われたって、いい。無謀な挑戦と言われたって、構わない。卯(う)年生まれの清宮が立てた年男の誓いは、至ってシンプルだった。

清宮 「誰よりも本塁打を打つ」です。村上のことは尊敬していますけど、同い年であることは間違いないので、さらさら負ける気はないです。今度は僕がやってやる番。

臆せず発した言葉に、決意がにじんだ。同い年の史上最年少3冠王へ、ライバル宣言。「強気な清宮」が、帰って来た。

高校通算111本塁打を引っ提げ、17年のドラフト会議では、高校生として史上最多に並ぶ7球団が1位で競合。プロの壁にぶち当たり、もがき苦しむうちに、いつしか「ビッグマウス」は影を潜めていた。

清宮 入団の頃に思っていたことを忘れてしまうくらい、いろんなことがあって…。入団した時は五輪に出て、新球場が出来るより先にメジャーに行っちゃうんじゃないかっていう風に思っていましたし…。

東京五輪やWBCなど世界大会への出場。早実の大先輩、ソフトバンク王会長の最多本塁打記録更新-。5年目を終え、日本代表入りなど考えも及ばず、そんな自分が「イヤ」だと悔しがった。

清宮 最近「俺、昔は自信に満ちあふれていたな」って、思ったんです。怖いもの知らずというか。そのマインドいいなって。口に出すことで自分にも言い聞かせられるし、毎日、自分が成功した姿をイメージしながら練習することは、すごくいいなって。そうあるべきだなって。

「日本の4番」に成長した村上とは、練習試合で初めて会った高1からの付き合いで、仲もいい。

清宮 昨年は負けを認めてしまったかのようなコメントしか出来なかったけれど、それじゃあ、つまらないですよね。3冠王なんてハンパないことだし、歴史的に見てもすごい打者であることは間違いない。早くメジャーでプレーする姿を見たいし、僕も早く追いついて、メジャーへ行きたい。その気持ちはウソじゃありません。

開業が近づく新球場「エスコンフィールド北海道」。新たな本拠地に足を踏み入れると、瞳が輝いた。

清宮 ダッグアウトを出たらすぐスタンド。観客が真横にいる感じ。唯一無二。メジャー超えの球場っすよ、完全に。早く満員になっているところでプレーしたいなと思いました。

札幌ドームに比べて外野フェンスは低く、右中間の膨らみは特に小さい。清宮のような右方向へ引っ張る左打者にとっては有利とされ、18本塁打した昨季通りの打撃ができれば、10本以上は増えるというデータもある。「そんなに都合よく打てるかは分からないですけど…」と苦笑いも、新球場1号は「もちろん打ちたい。打ちには行きます」と狙いに行く。

清宮 今年は勝負です。もし僕が、村上よりホームランを打ったら…。もっと見える世界が違うと思う。

新時代。誰よりも高く、跳びはねる。