15年ぶりに虎の指揮を執る阪神岡田彰布監督(65)を、日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(41)が直撃した。早大の後輩でもある教え子との本音だらけの“ぶっちゃけ対談”。第5回は守備編の上。チームは昨季まで5年連続両リーグ最多失策と苦しむが、新指揮官は二遊間を中心とする守備力アップに自信をのぞかせた。【取材・構成=佐井陽介、石橋隆雄】

   ◇  ◇

鳥谷氏 守備の現状はどう評価されていますか?

岡田監督 まあ二遊間言うけど、あんまりメンバーが代わるとな(※1)。やっと練習の時でも、ゲッツーでも「もうちょっと、こっちに投げた方がいいですか?」とか、「オレはこっちの方がええ」「オレはもう少しこっち」とかなあ。そういう会話がやっと出てきたよな。おーん。やっと、その呼吸が分かってきたんちゃう? ただ単に投げたら終わりじゃなしにな。ゲッツーを取るには、このコンビやったら(投げる位置は)ここがベストとかな。そういうのが、やっと出てきたような感じはするな。

鳥谷氏 中野選手が二塁にバチッとはまってくれれば、あとは遊撃手を(複数人で)回したとしても、呼吸が決まってくる、と。

岡田監督 そうそう。

鳥谷氏 ここ最近は結局、二塁手を年間で固定できていませんでしたからね。

-鳥谷さんの現役時と今とでは、二遊間にどれぐらいの力量差がありますか?

岡田監督 いやいや、そらあ力も昔の方が上やし。まだまだ今のメンバーはやることが多いよ。でもオレが(今の選手たちに)思うたんは、あんまりそこまで細かく言われてきていないから、すごい新鮮に聞いとるな。おーん。11月なんか反復練習やから、ほとんど単純な練習やけど。なんかこう、ちょっと興味を持ち出したんちゃうかな。守備の重要さという意味でね。「もう少しこうしてたらゲッツー取れたのに」とか、シーズンの反省も踏まえて。そのへんはあんまり細かいことを言われなかったのかなあ。だから、ちょっと言うことでも、初めて聞くこともすごい多いと思うけど、すごい興味を持ちよるな。おーん。単純な反復練習でも興味を持ったら、やっぱり楽しく練習するやんか。嫌々の反復練習じゃなしに、ちょっといい練習っていうか、うまくなるような。そういう感じは受けるよね。

鳥谷氏 ゲッツーにしても、自分がまだチームにいた時もそうでしたけど、二遊間がほとんど一緒に練習をしなかったんですよね。キャンプでもゲッツーの呼吸を合わせる練習が絶対必要なのに、今までは結構なくて。それが秋のキャンプでは一生懸命一緒にやっている姿を見た。ああいう練習をしていくとゲッツーを今まで以上に取れるような気がします。これまではゲッツー崩れの走者が得点するケースもめちゃくちゃ多かったですしね。

岡田監督 多い、多い。

鳥谷氏 エラーにはなっていないけど、走者が1人残ることによって、1失点で済むところが2失点になって負けたり…。

岡田監督 1失点を防ぎにいって、2失点、3失点になるやろ? 結局は。

鳥谷氏 二遊間は「どうすればゲッツーを取れるか」を2人で話し合えば合うほど、必ずうまくなっていく。そこらへんは中野選手が二塁にはまってくれたら、誰が遊撃手に入ってもその選手に合わせればいい。自分たちの時はまだ「つぶし」(送球を防ごうとするスライディング)もあったけど、今はないですからね。

岡田監督 そうやねん。「つぶし」ないからなあ。

鳥谷氏 今は走者が野手を避けてくれるから、大体のところに投げたら(ベースカバーに入った方も一塁へ)投げられる。二塁手が固定されると、守備力はかなり上がると思います。

岡田監督 だから(05年に)藤本(現1軍内野守備走塁コーチ)をショートからセカンドにしたような感覚やで、中野は(※2)。肩の強さもよう似とる。まあ、肩の強さなんかは個人個人違うから。スローイングのエラーが一番キツいからね。おーん。やっぱり捕ったら大丈夫でないとね。おーん。(守備編下に続く)

【関連記事】ぶっちゃけ対談6はコチラ

※1…昨季の阪神は二塁を9人が守った。最多は糸原の63試合。遊撃は5人で135試合の中野が最多。岡田監督は今季、二塁、遊撃をレギュラーと控えの2人ずつ、計4人とユーティリティーで1軍メンバーを固定しようと考えている。

※2…昨季まで2年間正遊撃手だった中野を秋季キャンプから二塁へコンバートした。05年はそれまで正遊撃手だった藤本を二塁に移し、プロ2年目の鳥谷を遊撃で固定した。