浜風なんぞ気にするな。阪神岡田彰布監督(65)が、甲子園名物の浜風は昔と比べて「吹いていない。関係ない」と断言した。海側から来る浜風は右翼から左翼方向へ強く吹くため、右翼への打球が押し戻される。左打者泣かせで有名だが、球場右翼方向にあった甲子園競輪場の02年閉場後は浜風が弱まっていると強調。クリーンアップで期待する佐藤輝明内野手(23)ら若虎には、浜風に負けない豪快な大飛球を望んだ。

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子供の頃からタイガースを愛し、選手、コーチ、監督として古くから甲子園を知る岡田監督ならではの重みがあった。「浜風なんて関係ないよ。そんなの言い訳や。何十年浜風言うてんの。そういうの知らんやつやろ。吹いてないよ。調べてみ。どんだけ左翼にすごい浜風吹いてた? 吹かんて」と言い切った。

指揮官いわく、昔の浜風はもっと強烈だった。右翼方面にあたる南甲子園に甲子園競輪場があった頃は高い建物もなく、ダイレクトに強い浜風が吹いていた。それが02年で甲子園競輪場が閉場となり、跡地や周辺が開発されて14階建てマンションなどが立ち並ぶことで、風は弱まったのだという。

さらに07、08年オフの甲子園球場リニューアルの中ではアルプス席と右翼席の間の隙間も下半分は閉じる形となった。指揮官は年末に出演したラジオ番組内で「浜風、浜風言うけど、もうそんな吹かないですよ。マンション建ってからは。昔はアルプスと外野の間から風が余計に来ていた。あそこも閉めたからね」と強調。03年以降も金本知憲、福留孝介、鳥谷敬ら左の強打者が浜風に苦しんできた印象は強いが、現代の選手たちに「浜風は弱まっている」と暗示をかけた形だ。

特にクリーンアップ固定を考える佐藤輝らには、浜風などを意識せず打席に入ってほしいというのが、岡田監督の考えだ。佐藤輝は21年は24本のうち8本、昨年は20本のうち5本しか甲子園で本塁打を打っていない。浜風を利用して左中間に流し打つこともできるが「カケ(掛布)さんとかバースはそないして打っとった。今はそこまで左打者で技術あるヤツおらへんわ。自然を利用してうまいこと打つヤツがおれへんよ」と指揮官。浜風を言い訳にせず、自分の形でしっかり打つスタイルを望んでいる。

「9月以降なんか、ほとんどフォローやで。昔から9月以降は浜風なんて吹かへんねんから。それはもう分かってる話やんか」。シーズン当初から浜風に向かって強い打球を打ち続けていれば、「アレ(=優勝)」争いの中、豪快なアーチを右翼へ突き刺す選手が増えるはずだ。【石橋隆雄】

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