阪神担当記者がさまざまな話題を深掘りする「虎番リポート」。

今回は、阪神近本光司外野手(28)が今季から新たに使用する久保田運動具店の「スラッガー」のグラブについて。プロ入りして4年間は他メーカーのものを使用していたが、新たな相棒とともに3年連続のゴールデングラブ賞を目指すことになった。新グラブの特徴に迫る。【取材・構成=中野椋】

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近本のもとに、23年型のグラブが2個届いている。いずれも形は同じ。素材に違いがあり、1つはプロ野球で使用する硬式球ではなく軟式球用のグラブだ。軽さを追求する近本の要望に応えるべく、久保田運動具店側が提案。担当者は「軟式用グラブの革の方が、硬式用よりも若干軽い。軽さに重点を置いて作りました」と説明する。当初はこの案に驚いていた近本も試しに使用。「(軟式用グラブでも)違和感はない」と手応えを得ているという。

もう1つは、硬式球用の革で重さを抑えたモデル。こちらは薄い作りで軽量化を実現させた。近本は鹿児島・沖永良部島での自主トレで使用しており、使い心地について「めっちゃいい感じです」と語っている。 今後も使用感を確認し、試合で使用するグラブを最終決定する方向。いずれのグラブも細かな変化を逃さないために、担当者がアフターケアを行っていく。同担当者は「近本選手の守備に対する高い意識に応えたいです」とサポートを約束。シーズンを通して、ベストな状態を維持していく。

俊足を生かした広い守備範囲は球界随一。近本は外野守備で走る際、うまく腕を振るために「グラブと手が一体になる」感覚を重視している。手がそれほど大きくない近本に合わせ、大きさは一般的な外野手用よりも小さめ。グラブの重心を手のひらに近いところで感じる「フィット感」のおかげで、全力で腕が振れる。軽さに加え、大きさにもこだわりが宿っている。阪神外野手では、03~06年まで4年連続で獲得した赤星憲広以来の3年連続ゴールデングラブ賞へ。背番号5が新たな相棒とともに、虎のセンターラインを守り抜く。

▽主な個性派グラブ

◆新庄剛志 阪神に入団した90年に、7500円で購入。そこから現役通算17シーズンにわたり、同じものを使い続けた。破損するたび4度の“手術”も行い、ゴールデングラブ賞10度の名手を支えた。

◆藤田一也 楽天在籍中の19年オフに、内側に軟式用、外側に硬式用の革を使用した「ハイブリッドグラブ」の使用を検討。好感触に満足げで「しっとり感がほしかった」と理由を明かした。

◆パーラ メジャーでゴールドグラブ賞を2度獲得した外野の名手。20年巨人では、手のひらサイズの極小グラブを手にキャンプ直前の練習に参加。「大きなグラブを使うと、確実性が上がるから」と説明した。

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