侍ジャパン合流前に「朗希VS村神様」実現へ-。ロッテ佐々木朗希投手(21)が、侍ジャパン合宿前の15日に行われる練習試合ヤクルト戦(午後1時開始、糸満)に登板することが有力となった。

2日、沖縄・石垣島で、今キャンプ初のブルペン投球を行った。49球を見届けた吉井理人監督(57)が、今後の実戦プランに言及。調整過程も考慮するため正式決定ではないが、最速164キロ右腕と日本人最多56本塁打の村上宗隆内野手(23)の対決は、WBCに向けた絶好の腕試しとなりそうだ。

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佐々木朗が、ブルペンでWBC公式球を受け取った。軽くキャッチボール後、右足スパイクのひもを結び直してスイッチを入れ直した。立ち投げで7球。捕手に開始を告げると、1球目は外角低めにズバッと直球から投げ込んだ。

11球目からは変化球に突入。スライダーに「今の(曲がりが)早いっすか?」。フォークにも「落ちてますか?」。捕手に質問したり、計測している回転量を画面で確認しながら、約20分間の初ブルペンを内角低めの直球で締めた。

直球29球、スライダー11球、フォーク9球の全49球。最速は球団計測で156キロだった。「ストレートはもう少し状態を上げていかないといけないけれど、変化球は合格点だと思います。(WBC球も)だいぶ慣れました。しっかり操れている感覚があります」。昨季終了以降、年末年始もキャッチボールを増やしてきた。昨年11月の強化試合で目立った抜け球は1球もなし。

吉井監督からは17日の侍ジャパン合宿(宮崎)までに試合で2、3イニングを投げられるよう要求されてきたが「一番はケガなく。その中で実戦もあると思うので、バッターに投げて少しでもよくなっていければ。とにかく、いま出来ることを精いっぱいやって結果がついてくればいい。足元固めから」と準備を進めている。

今後の調整法について侍ジャパン投手コーチを兼務する吉井監督は、中1日もしくは2日でブルペン入り後、9日にライブBP(シート打撃)を行う構想を明かした。「実戦は15日かなあ。まだ、その前のブルペンやライブBPを見てみないと分からないので決定ではないですけれど」。

15日の相手は、村上擁するヤクルト。2次キャンプ地糸満市での練習試合での登板を想定し、佐々木朗の投球時はWBC球を使用することで内諾を得ている。「他の侍メンバーが(合宿前に)投げるかは分からないですけれど、朗希には投げてほしい」。佐々木朗が村神様との“手合わせ”で実戦感覚を研ぎ澄ます。【鎌田直秀】

▽ロッテ黒木投手コーチ(佐々木朗の投球に) チームの柱として投げなきゃいけないという自覚と、日の丸を背負わなきゃいけない責任を感じた中での自主トレは、投球に表れていました。ケガしないよう親心で見ていましたが、もっとすごくなりますよ。

<過去の佐々木朗のキャンプ初ブルペン>

◆20年2月13日 柿沼捕手に約5分間で25球。佐々木朗は「長く感じました」。吉井投手コーチは「あんな球を投げるやつ見たことない」。

◆21年2月1日 中腰状態の捕手に直球のみ37球。佐々木朗は「何点とかは分からないですけれど、ある程度良かった」。吉井投手コーチは「本当は座って投げてほしかった」。

◆22年2月1日 前里ブルペン捕手に直球のみ31球。前里捕手は「恐ろしいよ」。井口監督は「1人だけ別格でした」。

<佐々木朗対村上メモ>

佐々木朗が2年目の21年6月10日に初対戦。2回に村上がカウント1-1からの151キロの直球を右中間へ本塁打。佐々木朗にとってはプロ3試合目、通算53人目の打者で初被弾となった。4回は空振り三振、6回は四球で、2人が公式戦で対戦したのはこの1試合だけ。オールスターでは昨年の第2戦で対戦があり、村上が161キロの直球を中前打している。

○…新外国人C・C・メルセデス投手(28=巨人)が今キャンプ初めてブルペン入りし、44球を投げた。スライダーなどの変化球も交え「コントロールのチェックと腕の振りの状態を確認しながら投げました。変化球も良かった」と納得の表情。日本で通算29勝の実績がある188センチ左腕には、吉井監督も先発として期待している。

○…小島和哉投手はキャンプ初ブルペン入りし、習得を目指すフォークに「ボチボチです。あとはバッターが立ってみての感覚」と手応えを得つつある。カーブ、スライダー、チェンジアップなども試しながら55球。昨季チーム唯一の規定投球回数到達者で、先発左腕の軸として2ケタ勝利を期待される。隣では佐々木朗が注目を浴びる状況下に「投げやすくはないですけれど、まあまあ…」と苦笑い。

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