巨人の育成にタワーマンション級のブレーク候補が出現した。18年ドラフト4位の横川凱投手(22)が驚異の球速アップで飛躍を予感させた。2年連続で支配下から育成に降格している身長190センチの“高層左腕”が宮崎キャンプ第1クール最終日の5日、2軍から1軍に昇格。ブルペンで自己最速を大きく更新する150キロ超の直球を披露した。原監督から「タワマン投球」と命名された。

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横川がブルペンに高くそびえ立った。グラブをはめる右手を大きく突き上げてからダイナミックに腕を振った。ボールは球威十分にミットに吸いこまれた。昨季は130キロ台後半の直球が、球団スタッフの証言によると、最速150キロ超に上がった。昨秋から築4カ月のフォームに「決まった時のボールは以前と比べて、感触が違う。出力は絶対に上がっていると思う」とうなずいた。2軍から昇格初日で強烈な印象を残した。

視察した原監督は迫力が増した190センチ左腕を高層マンションにたとえた。「タワマンピッチャーがまた増えたね」と可能性に目を細めた。横川は「身長が高いのが持ち味。そこを生かしたい」と呼応した。今は3階に住んでいる22歳は「タワマンに住めるように」と将来の目標も抱いた。

自らを再開発した。昨季は1軍登板1試合だけ。4回途中5失点とKOされ、オフに育成で再契約となった。昨秋、桑田ファーム総監督、久保巡回投手コーチ、杉内3軍投手チーフコーチと恵まれた体を生かす道を探した。球威を追求。右腕を大きく使い、体全体で力を発揮する形を作り上げた。

球威、制球を安定させる精度が課題となる。オフは中日涌井と自主トレを行い「ローテーションを守れるようなピッチャーは100球を投げたら、80球、90球同じ球を投げられる」と学んだ。支配下、その先に目指す先発ローテ入りには、乗り越えないといけない課題と自覚する。

「アピールしないといけない立場。開幕1軍を目指して頑張りたい」と見据える。昨季の巨人は先発左腕の勝利数がリーグワーストの6。うち5勝は退団したメルセデス(現ロッテ)だった。先発左腕の台頭が待ち望まれる。背番号062から、絶景が望める場所にたどり着く。【上田悠太】

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