「朗希VS村神様」は、WBCで理想とする160キロの内角ストレートが圧倒した。侍ジャパンのロッテ佐々木朗希投手(21)が15日、沖縄・糸満市西崎球場での練習試合ヤクルト戦に今季対外試合初登板初先発。3月のWBCでともに主力として戦う村上宗隆内野手(23)を空振り三振に斬るなど、4者連続を含む2回5奪三振と快投。WBC球での自身最速タイ160キロを2度計測し、変化球の精度も納得の表情。17日から始まる侍ジャパン宮崎合宿に向け、順調そのものだ。

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佐々木朗にとっては予告奪三振だった。村上を1-2と追い込んだ4球目。160キロの内角低め直球で空振り三振。「最後は良いところにいってくれた。練習試合とはいえ、ホームランは打たれたくなかったので、抑えられて良かった」。試合前、捕手の松川に「インコースのまっすぐで三振をとりたい」と宣言。村上との対決は、WBCに向けた準備の成否を測る指標でもあった。

左打者の内角低め直球であり、右打者の外角低め。佐々木朗はバッターボックスのラインに捕手に構えてもらい、そこに投げ込むことを重視してきた。昨年11月の強化試合ではWBC球に対応できず、抜け球も目立った。基本に戻り、自身の力がもっとも伝わるコース。そこに制球できることは指にしっかりかかった証拠にもなる。変化球も右打者にはスライダー、フォークも交ぜるが、左打者にはフォーク偏重になって球種が少なくなることから、WBCで対戦する左の強打者対策も「内角直球」が生命線になると考えている。「(バッターボックスの)ラインに投げられたのは良かったし、継続していきたい」。手応えをつかんだ1球でもあった。

昨日の敵は、今日の友-。村上の存在には「一緒に戦っていく中で頼りになりますし、たくさん頼っていく気持ち。点をとってくれると思って、思いきり投げられるかなと思います」。投打の主力として信頼しあうからこそ、この日の結果が自信にもつながった。

村上以外からは新しい握りも試すスライダーやフォークで、初回先頭から4者連続を含む2回で5奪三振。「空振りをとれたんですけれど、これで良しというわけではない。たくさん投げていく中で仕上がっていければ」。まだまだ精度を高める努力を重ねる。すべての球種で「今は自分の中で普通に投げられているというか、握れている」と断言。あとはケガなく。世界の猛者を斬る準備は、さらに1段階進んだ。【鎌田直秀】

【練習試合詳細】佐々木朗希が村上宗隆を160キロ空振り三振斬り ロッテが6-4でヤクルト破