阪神青柳晃洋投手(29)が3月31日のDeNA戦(京セラドーム大阪)で開幕投手を務めることが10日、決まった。 先発で4回3安打無失点と好投した日本ハム戦後に、岡田監督が「そら決定でいいよ、そら分かるやんか」と明言した。

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阪神のエース青柳晃洋投手(29)には、ぜひ「貯金10」の壁を突き破ってほしい。

2年連続でセ・リーグ最多勝と最優秀勝率を継続中の右腕だが、貯金は1桁にとどまっている。21年は13勝6敗で貯金7。22年は13勝4敗で貯金9で、惜しくも大台を逃した。

阪神で2桁貯金を稼いだ直近の投手は、貯金12を積み上げた05年の下柳剛だ。15勝3敗で最多勝に輝き、勝率8割8分3厘と合わせて2冠を稼いだ。もっとも下柳は、日本ハムからの移籍組。生え抜きでは、03年井川慶の貯金15までさかのぼる。阪神では現状での最後の20勝投手(5敗)でMVPとなり、優勝の立役者となった。

青柳と同じ右腕に限ると、小林繁が79年に貯金13を重ねたのが最後である。同年のキャンプイン直前に、江川卓とのトレードで阪神入り。古巣の巨人戦では8勝0敗と、貯金8を荒稼ぎしたのが大きかった。

そして青柳が今季2桁貯金を達成すれば、生え抜き右腕ではなんと70年の村山実の貯金11以来、53年ぶりとなる。この年の村山は14勝3敗、そして防御率は0・98。2リーグ分立後では唯一の0点台という、別次元の熱投だった。

球界全体に広げると、山本由伸(オリックス)が2年連続で2桁貯金を継続中だ。21年18勝5敗で貯金13、22年15勝5敗で貯金10。青柳とともにプロ野球初の「2年連続で最多勝&勝率1位」を達成している。セ・リーグでは20年の菅野智之(巨人)が14勝2敗で貯金12。阪神球団史では希少であっても、現役のライバルたちに負けてはいられない。

昨季の青柳は、新型コロナウイルス感染で出遅れた。初登板はチーム18試合目の4月15日巨人戦。ここから白星街道を突っ走り、8月2日巨人戦に勝った時点で12勝1敗というすさまじい成績を残していた。

ところが同9日DeNA戦から7試合勝利から見放され、この間3敗。最後の登板9月27日ヤクルト戦に勝ったものの、最終13勝4敗で貯金9に終わった経緯がある。苦い経験を糧に「アレ」に直結する大型貯金を残してほしい。【記録室・高野勲】

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