ソフトバンクの王貞治球団会長兼特別チームアドバイザー(82)が29日、「2023年型ホークス野球」の確立を厳命した。ペイペイドームで行われた全体練習に姿を現し、約16分間にわたってV奪回への道筋を熱弁。2番近藤、3番柳田、4番栗原を中心に「前後(の打者)がどれだけ自分の仕事ができるか」とポイントを挙げた。監督として6度のレギュラーシーズン1位を成し遂げた「世界の王」が、野手陣の奮起を促した。

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3月31日のロッテとの開幕戦まで残り2日。ペイペイドームに訪れた王会長は、今季の戦い方を約16分間にわたって熱弁した。「143試合のうち最初の40試合は小手調べみたいなもんだよね。残りの100試合からが勝負」。40試合が経過するのは、5月下旬から始まる交流戦の直前。シーズン序盤で「2023年型の戦い方をつかんで」と厳命した。

王会長が考える「2023年型の戦い方」は2番近藤、3番柳田、4番栗原を中心とした打ち勝つ野球だ。「3人はベースで決まっているわけだから。前後がどれだけ自分の仕事ができるか」。昨オフはエースだった千賀が米メッツに移籍。今季はより得点力が求められるだけに「打線がやっぱりカバーしないとね」と分析した。巨人、ダイエー、ソフトバンクの監督時代は6度のレギュラーシーズン1位と2度の日本一を達成。「世界の王」は、ペナントレースの勝ち抜き方を熟知している。

開幕4番が内定している栗原は、昨年の左膝重傷から復活を期すシーズン。この日は「出ます。大丈夫です」と全試合出場に意欲を示した。全体練習のフリー打撃でも快音を連発。王会長も打撃ケージの裏から見守り「バッティングの調子はいい。だから彼(栗原)と柳田と近藤と3人がね。その前後がどうお膳立てできるか」と、再三にわたってキーポイントを挙げた。

藤本監督も同じ考えだ。「栗原と柳田には打点をたくさん稼いでもらいたい。近ちゃんには今まで以上に出塁率を頑張ってもらいたい。その前後を打つ打者がどれだけ頑張ってくれるか」。具体的には牧原大や中村晃ら「前後を打つ打者」の奮起も促した。今季は3年ぶりのリーグ優勝奪回が宿命。現場トップの王会長と藤本監督が方向性を示し合わせ、開幕を心待ちにした。【只松憲】

○…ソフトバンクの本拠地・ペイペイドームに隣接する商業施設「BOSS E・ZO FUKUOKA」で、「栗原陵矢展」が3月31日から開催される。期間は5月14日まで。「王貞治ベースボールミュージアム」の中に位置しており、栗原の幼少期からの写真や野球ノートなどが飾られている。藤本監督と柳田主将に次ぐ副将の個人展に、栗原は「すごくありがたい。期待に恥じないように頑張らないと」と引き締めた。

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