今季FAで新加入したソフトバンク近藤健介外野手(29)が古巣相手に決勝の恩返し弾を放ち、今季2度目の3連勝を導いた。

1-1の同点の5回2死。日本ハム伊藤の失投を見逃さなかった。2安打2打点で打線をけん引。チームをホーム負けなしの5連勝に導いた。3番柳田悠岐外野手(34)も7回に10試合目で待望の初打点をマークするなど、2&3番が初めて機能。貯金を今季最多の6とし、独走態勢に入る勢いだ。

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鮮やかなアーチで、近藤は古巣から恩返しの1発を放った。1-1の同点で迎えた5回。日本ハム伊藤の失投を逃さなかった。カウント0-1から151キロの真ん中直球をフルスイング。打球は右翼テラス席へ一直線に飛び込む決勝の2号ソロだ。「力を抜いて、しっかりと振り切れた良い打撃」と自画自賛の一打だった。7回2死二塁では追加点となる適時二塁打を放ち、2安打2打点。近藤が安打を放った8試合は全勝で“不敗神話”も継続中だ。

11年間在籍した日本ハムとの今季初対戦。伊藤はWBCでともに日の丸を背負って戦った同志で、シーズン中での対戦を心待ちにしていた。試合前には伊藤から「スローカーブ投げますよ」と予告! もあったが、初回の第1打席は全4球150キロ超えの真っすぐ。第3打席までは全8球がすべて直球勝負だった。「良かったですよ。びっくりしました。直球を狙っていてもファウルになりますし球の強さがきていた」。1発を放っても、一線級の投手にリスペクトを忘れなかった。

近藤の後を打つ3番柳田にも、待望の一打が生まれた。2点リードの7回2死二塁。カウント2ボールから伊藤をとらえ、中押しのタイムリー二塁打。開幕10試合目で今季初打点をマークした。四球10、出塁率4割6分5厘はリーグ2冠だが、試合前練習では王球団会長も3番柳田の不調に心配そうな顔を浮かべていた。すべてを払拭(ふっしょく)する会心の一打だった。

期待の2&3番が初めて機能し、首位をがっちりキープ。藤本博史監督(59)は「また4番栗原がおって、5番は状態の良い牧原(大)、中村でどっからでも点が取れる。ただ、大砲がいないから『ピストル打線』でいきましょう」と声を弾ませた。チームは今季2度目の3連勝で、本拠地は負けなしの5連勝。今季最多の貯金6とし、鷹の勢いが止まる気配はない。【佐藤究】