西武柘植世那捕手(25)は頭部死球を受けても、チームを勝利に導いた。

6回の第3打席、ロッテ西村の初球が左側頭部に飛んできた。よけながらも、ヘルメットに当たる。危険球でうずくまるも、担架に乗らずにベンチへ。しばらくして、一塁へ走った。

「そんなに。もっとまともに当たったら分かんなかったっすけど」

バッテリーを組む今井達也投手(24)がまだ、その時点ではノーヒットノーランペースだった。「変わりたくないっていうのはありました」。首脳陣やスタッフともしっかり協議し、プレー続行を決めた。試合後は念のため、病院へ検査に向かった。

今井は結局2安打されたが、完封した。好投の要因は「柘植さんのリードです」と感謝した。

右翼から強い風が吹いていた。今井が投げる球に影響はなかったものの、打球には影響が。「風を考えて左打者は引っ張らそう、みたいな。引っ張っても本塁打にはならないから。藤原とかのライトフライのイメージで」。4回、ロッテ藤原の右翼への大飛球は狙い通り、風に押し戻され、愛斗のグラブに収まった。

7回、今井が先頭藤岡に四球を許した。マウンドへ向かう。肩、背中、腰、肩…と今井にタッチしながら「常に攻めて攻めてを忘れずに、どんどん攻めていこう」と伝えた。

8回1死で大記録が途切れても「切り替えて。勝つだけ。完封すればいい」と淡々と。後続を連続三振に導いた。派手に喜ぶ今井を見つめながら、控えめにガッツポーズ。柘植もいるし、古賀もいる。先発陣に信頼され、経験を深める。「正捕手不在」がいつの間にか、マイナス要素ではなくなっている。【金子真仁】

【西武】今井達也8回1死までノーノーから完封!獅子の右腕トリオが奪三振リーグトップ3独占