4連勝を逃した直後、広島新井貴浩監督(46)の表情はさすがに赤く上気していた。1727日ぶりにユニホーム姿で降り立った甲子園で痛恨の逆転サヨナラ負け。守護神栗林で1点リードの9回裏2死満塁から試合をひっくり返され、悔しくないわけがない。それでも敗戦を一身に背負い、「栗林も打たれることもある。うちのクローザー。また次も信頼して送り出したい」。首位陥落、3位転落にも泰然自若を貫いた。

懸命に手は尽くした。阪神先発西勇を相手に0-0で迎えた9回表無死一塁、2番野間には今季14試合目で12球団最遅となるチーム初犠打を成功させた。3番秋山が進塁打を決め、2死三塁から4番マクブルームの左翼線適時二塁打で待望の先制点を奪取。「本当にワンチャンスを取るんだという気迫は伝わってきた。(7回無失点の)九里もナイスピッチングだった」。ナインの取り組みに手応えを感じるから、敗戦にも胸を張った。

現役時代の07年オフ、広島から阪神にFA移籍。08年から14年まで計7年間、聖地を本拠地とした。カープに戻って最終年を戦った18年7月26日以来となった甲子園ゲームの味はほろ苦かった。縦じま時代は4番、主砲として満身創痍(そうい)の状態でチームを支え抜き、苦悩した期間の方が長かったかもしれない。まさかの結末に「まあ、そうですね…」と多くを語らなかった将。指揮官としても当然、悔しさを糧にはい上がる。【佐井陽介】

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