佐賀の真っ暗な夜空を切り裂いた。巨人吉川尚輝内野手(28)が、今季49打席目で初アーチをかけた。1点リードの7回無死一塁。ベンチからのサインが目まぐるしく変わる。3球目、犠打を試みるもファウル。4球目からヒッティングに切り替わった。5球目。DeNA浜口の142キロ直球を振り抜いた。

「ホームランが出るとは自分でも思わなかった。つなぐ気持ちでバット振ったら、たまたま最高の結果になった」

好不調の判断は「バットの出方」が鍵を握る。自主トレ中から「いかにスムーズに切れ味鋭くボールに向かっていけるか」にこだわってきた。でも、開幕からバットをスムーズに出せずに苦しんだ。

試行錯誤の末、亀井打撃コーチが現役時代に続けていた“真横打ちティー”を前日18日から取り入れた。バットを内側から出す意識を植え付けつつ、上半身と下半身のバランスを整えた。亀井コーチから「この練習は一石三十四鳥くらい(効果がある)」と経験値から生み出した練習方法を伝授され「ずっとバッティングを見てもらっている。しっかり結果出せるように」と恩返しを誓った。

最下位に沈むチームで、もがき続けてきた。試合前時点で打率1割7分5厘。直近4試合はスタメンから外れた。3年目の中山の活躍をベンチから見つめ「僕もやらないといけない」と奮い立った。だからこそ個人の活躍より3試合ぶりの白星に重きを置いた。「勝てたことが一番、そこがうれしい」。副キャプテンの1発から最下位巨人が反撃する。【小早川宗一郎】

▽巨人原監督(吉川の1号2ランに)「もがくしかないんですよ。考えている暇はない。落ち込んでいる暇はない。どういう状況であってもユニホームを着ている人間というのは、その中でもがくというのは非常に大事だと思いますね」

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