日本ハム上沢直之投手(29)がソフトバンク戦で先発登板し、7回1失点で今季3勝目を挙げた。エスコンフィールドでは初勝利。元同僚のソフトバンク近藤からは2奪三振など、3打席無安打に打ち取った。侍ジャパンに名を連ねた日本屈指のアベレージヒッターを完璧に打ち取り、エース右腕が最下位脱出への上昇気流を吹かせた。

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上沢がソフトバンク近藤との初対戦で完全勝利した。元同僚と相手打者として対峙(たいじ)したが気負いはなかった。「なんか変な感じしましたけど、すごくワクワクした。意外と試合になったらバッターとして投げられた」と振り返った。2打席目は追い込んだ後の6球目で、マスクを被った清水のサインに何度も首を振り選択したスライダーで空振り三振に仕留めた。「嫌いなボールも何となく分かっている。選びながらという感じ。付き合いも長いので」と語った。

7回116球を投げて、8安打10奪三振1四球で1失点。ピンチを招く場面もあったが、力のある直球がさえた。「力を入れた分だけボールに(力が)伝わっているっていう感覚があった」。右胸を下方向に向ける意識で投球するフォーム改善が直球の球威につながった。「初回から気を付けていたのは、胸を起こさないこと。胸が起き上がると、横振りになってしまう。上半身の前傾はとにかく意識した」と語った。「1試合で110回くらい同じ動きをする。その中でいい感覚を継続して次の試合に臨みたい」と次戦を見据えて語った。

新球場エスコンフィールドでは初勝利でお立ち台にも立った。「早く見たかった景色だった。ファンの人にもなかなかいい試合を見せることができなかったので、本当にそこが良かった」と、待望の本拠地での勝ち星の喜びを語った。応援に来た家族にも勝利を届けた。「すごく心配かけていた。ようやくちょっと安心させることができたかなと思います」と笑みをこぼした。登板日は土曜日が多く、「なるべくいいところを見せたいと思っています」。近藤との対戦で得た自信を糧に、先発ローテーションの軸として勝ち星を積み重ねていく。【石井翔太】

 

○…日本ハム伊藤が中学時代に所属していた函館東シニアのメンバーや指導者らをソフトバンク戦に招待した。WBC優勝に貢献した功績が認められ、北海道栄誉賞特別賞を受賞し、鈴木道知事から表彰状を受け取った。当時、コーチとして指導した桜庭監督は「(伊藤の)活躍は子どもたちの励みになる。頑張れば夢をかなえられることを証明してくれた」と語った。