メガゴジラが東京ドームに襲来した。巨人秋広優人内野手(20)が、7回にプロ1号弾で勝利の望みをつないだ。

松井秀喜氏の背番号55を受け継ぎ、身長2メートルから繰り出した1発は、元巨人のジャイアント馬場も成し遂げられなかった日本人最長身アーチ。師匠である中田翔内野手(34)の劇的サヨナラ弾とのアベック弾で、チームは2連勝を収めた。順位は4位に浮上し、巨人の反撃ウイークが始まった。

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壮観だった。身長2メートルの秋広が見晴らしの良いお立ち台から、その光景を目に焼き付けた。隣には大好きな師匠中田翔。スタンドには両親と歓喜に沸く巨人ファン。手渡された初ホームランボールを、照れくさそうに高々とかかげた。

一振りで流れをガラリと変えた。2点を追う7回1死、広島松本の初球120キロカーブを振り抜いた。一直線で右中間席に飛び込む1号ソロ。一塁ベースを回って右手を突き上げた。「うれしすぎて、あんまり記憶ないっす。気持ちが打球に乗ってくれたのかなと思います」と格別だった。

理想に描いた師匠とのアベックアーチだった。1年目を終え中田翔へ直接弟子入りを懇願。昨年1月には沖縄・石垣島での自主トレ中に言った。「一緒にアベックを打てたら」。でも当時はプロ無安打。現実からは程遠かった。師匠が全額負担で用意してくれた米11合と石垣名物・美崎牛を食べまくった。夢見た1軍舞台で結果を残し、師匠の劇的サヨナラ弾でお立ち台のご褒美がついてきた。「さすがだなと。いつかそういう選手になりたい」と改めて尊敬のまなざしを向けた。

両親にもスタンドから見守られていた。プロ入り直後の21年3月27日、イースタン・リーグ日本ハム戦での公式戦初本塁打も、父伸也さんがジャイアンツ球場で見守った。父は「びっくりです。まさかホームランが出るとは」と勝負強い息子の姿に大喜び。お立ち台で、記念球を中田翔から受け取った秋広は「両親に届けたい」と即答した。

馬場正平(ジャイアント馬場)以来の身長2メートルの日本人選手として新人時代から注目された。2年目からは松井秀喜氏の背番号55を背負い、晴れ舞台の活躍を目指してきた。「軽い番号ではないと思ってます。番号に恥じない選手になりたい」。メガゴジラ伝説が華々しく始まった。【小早川宗一郎】

▽巨人原監督(プロ1号の秋広に) 選球眼もいいですし、思い切りもいいし。このホームランが育っていく上において、非常に大きなものになる。

◆大リーグの長身選手本塁打 史上最長身メジャーとしても有名な211センチのジョン・ラウチ投手がエクスポズ(現ナショナルズ)時代の04年に記録。通算2安打のみで、354勝クレメンスから打ったこの1発がメジャー初安打。次点は208センチの303勝左腕ランディ・ジョンソン(元Dバックス)と79勝右腕クリス・ヤング(元パドレス)がともに1本塁打を記録。