貧打に苦しんでいたヤクルトが今季最多の13安打で、巨人に逆転勝利した。キャプテン山田哲人内野手(30)の3号ソロが燕打線に火を付けた。ホセ・オスナ内野手(30)が8回にこの日2本目となる勝ち越しの決勝6号2ランを放ち、試合を決めた。4点差の逆転勝ちは今季初。7連敗の後は連勝を飾り、幸先の良い5月スタートとなった。

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「良い月にしたい」。泥沼の7連敗後に1勝をつかんだ4月最終日に口をついた高津監督の言葉どおりの試合展開になった。昨季も4度しかなかった4点差以上の逆転勝利を飾った。開幕から26試合目でようやく2度目の2桁安打も記録。チーム打率も2割復帰で打線が上向いてきた。

3点ビハインドの6回先頭。山田が1ストライクから侍ジャパンでチームメートだった巨人先発戸郷の143キロ直球を捉え、左翼席に運んだ。下半身のケガで離脱する前の4月7日阪神戦(甲子園)以来の1発だった。

キャプテンのバットで打線にスイッチが入る。2死一、三塁で打率1割8分5厘と苦しむ中村が、鍵谷の代わりばなを右中間に2点適時二塁打で同点。「自分がマスクをかぶった試合が5連敗中だったので、自分自身でその流れを断ち切りたかった」。連敗中は「半信半疑。打席で迷いが生じてしまっていた」が、この打席は「2ボールだったが、ストライクが来たら飛びつくぐらいの気持ちだった」とバットに熱を込めた。

チーム打率1割9分5厘と沈黙した4月とは打って変わり、打撃につながりが生まれた。中村の同点打の場面は、村上とオスナが四球を選んでできたチャンス。高津監督は「四球を絡めての同点が非常に良かった。今日は去年のような打線の形になった」と評価した。

通算80勝のうち34勝が逆転勝ちだった昨季のような粘りが、この日の燕打線には出た。今季41三振、最近10試合で打率9分1厘といまだ苦しむ村上だが、「打てない人がいれば周りがカバーする。昨年は彼に助けられたから」と山田。同点打の中村は「4点差をひっくり返したことは必ずチームに勢いが生まれる」。低空飛行だった燕が、5月に入り上昇気流に乗っていく。【三須一紀】

○…山田が4月28日の1軍復帰後初となる3号ソロを放った。離脱の影響で「動いてなかった分、体のキレはもっと必要。体力的には1試合終わってすごくしんどいけど、ボールも見えてるし、守備でも良い反応ができている」と調子は上向きだ。7連敗から連勝を挙げたことに「まだまだ100試合以上あるのでみんな前向きです」と語った。

▽ヤクルト田口(守護神として9回のマウンドを0封)「2点差あったので、とにかく逆転されないことを意識した。岡本のところで打たれたら同点だったので、なかなか勝負できなかったことは反省」

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