今年のドラフト上位候補の上武大・進藤勇也捕手(4年=筑陽学園)が右手首のケガから復帰し、今季公式戦初出場を果たした。

頼れる主砲が復活した。「やっと帰ってきたな」「託したぞ」と、チームメートに笑顔で迎え入れられ、「4番捕手」として先発出場。第1打席は遊ゴロ、第2打席は三ゴロ、第3打席は遊ゴロ。「3打席とも、引っ張りにかかっていた」と、1-1で迎えた8回裏、無死一、三塁の打席では「引っ張らずに、浮いたボールをコンパクトに振る」と、内角のフォークを捉え、勝ち越しの左犠飛。「タイムリーで得点したかったけど。今季初めてのリーグ戦で気負い過ぎた。考え方次第で変わってくる。これから、考え方を見つめ直さないと」と、復帰戦の決勝打にうなずいた。

3月中旬、オープン戦終了後、突然右手首に痛みが走った。「原因は不明です。投げると響く。診断名も分からない。負担がかかっていたのかな、と思います」。本格的にバットが振れるようになったのは5月に入ってから。リハビリの間は、積極的にメンバー外の選手に声をかけ、主将としてチームをまとめるにはどうしたらいいかを考え続けた。「サポートしている選手たちの思いがわかった。だからこそ、その気持ちを考えながら戦っていかなければと思いました」。チームが勝つためのプレーをする。一振りで決めた決勝犠打には、その思いが込められていた。

進藤がチームに戻り、上武大は6季連続優勝へ波に乗る。「この緊張感の中でプレーをするのが醍醐味(だいごみ)だと思うし、そのプレッシャーの中でも自分のプレーを発揮しなければいけない。久しぶりで楽しかったですね」と、充実感にあふれた表情を見せた。

この試合を、9球団17人のスカウトが視察。ソフトバンク永井スカウト部部長は「ケガ明けでも問題なくできている。大学で一番成長したのはバッティング。これから結果も出てくるんじゃないかな。心配はしていません。守る方は全く問題ないです」。日本ハム大渕スカウト部長は「スローイングは安定しているので、安心して見ていられましたね」。巨人榑松統括スカウト部長は「肩も強いし、馬力もある。スピードもあって、勝負どころでも1本しっかり打てる。いい捕手ですよね」。ドラフト上位候補の復帰戦に、それぞれ高く評価した。