日本製鉄広畑(姫路市)が藤野幹大投手(24=日本文理大)の完封で4年ぶりの都市対抗出場まであと2勝とした。

身長192センチのスリークオーター右腕が相手打線を手玉に取った。直球の最速は144キロだが、テンポ良くコースをついた。8回までわずか2安打だったが、9回に3本の安打を許して1死満塁と最大のピンチ。「頭が白くなっていた。でも、サヨナラか最高の形しか考えていなかった」と自分を信じた。右打者の外角にカットボールを投げ込み、三塁併殺に仕留めてゲームセット。ポーカーフェースを崩して白い歯がこぼれた。「結果的に最高の形になったので良かった」と胸をなで下ろした。

中学時代は内野手だったが、福岡第一に進学後投手に転向した。元バレーボール選手の母親譲りの高身長。藤野自身も高校時代から身長は182センチと高かったが、「自分は指先が器用。スローイングと同じように横から投げるのがしっくりきた」と当時はサイドスローだった。そこから徐々に腕の位置が上がり、現在はサイド気味のスリークオーターから投げこむ。

この試合では、決め球のスプリットで三振を奪うなど、9回5安打5奪三振で無失点。「今日は精度良く投げられた。テンポがいいのが自分のスタイル。真っすぐで強いボールが投げられた」と満足げだった。米田真樹監督(42)も「自分のピッチングを必ずしてくれる。球威があるわけではないが、対バッターに自分だったらこう抑えるというのが出来ているのが一番。最後もあそこまでいいピッチングをしていたので、しっかり投げきってくれると思っていた」と信頼を置く。

藤野の好投でチームは準決勝進出を決めた。都市対抗本戦への出場は19年以来4年遠ざかっているが、関西第1代表の座を射止めるまで残り2勝となった。藤野は「チームとしても今年は都市対抗にかける思いが強い。何としてでも、どんな形でもいいので、チーム一丸となって(都市対抗の行われる、東京)ドームに出ることだけを考えて、次の試合も戦っていきたい」と燃える。