ソフトバンク打線が“天敵”にカモられた。

中日涌井の前に今季最少タイ4安打と沈黙し、交流戦初黒星。14安打で今季最多13得点だった前夜から一転した。初回の柳田の右犠飛による得点のみ。藤本博史監督(59)は「涌井君はコントロールが良かった。うまく幅を使って投げていた」と、NPB通算156勝目を挙げた右腕に脱帽した。

昨季まで西武、ロッテ、楽天と渡り歩いた涌井には、ペイペイドームで6勝12敗。ロッテ時代の17年8月26日から5連敗となった。今季からリーグは違うが、苦手の右腕に足止めを食らう形に。藤本監督は「ボールが全ていいコースに来ていた。低め、高めのコースにね」。シュートやスライダーの出し入れにも苦しみ「それだけのコントロールを持っているピッチャー。それがハマればなかなか…。打てなかったらなんとかしないといけないんですけどね」と頭を抱えた。

試合前、異例の激励があった。王貞治球団会長兼特別チームアドバイザー(83)が、ナインのアーリーワークを指導。午後1時ごろ、グラウンドに姿を現し、身ぶり手ぶりでリチャードにアドバイスを送った。「ボールに負けるな」「受け身になるな」。ティー打撃やフリー打撃も間近で見守った。牧原大や栗原らにも声をかけて鼓舞。会長の早出熱血指導に応えたかったが、小休止となった。

勝てば2位浮上のチャンスを逃した。それでも5月は12勝9敗2分と勝ち越して終了。現在は7カード連続で負け越しがない。6月1日の3戦目は是が非でも勝ちたい。指揮官も「そうしましょう」と自身に言い聞かせ、球場を後にした。【只松憲】