夫人の出産のために米国へ一時帰国していた西武ディートリック・エンス投手(32)は長女誕生を経て5月末に再来日後、すでに次の登板機会へ調整を進めている。大雨の2日も埼玉・所沢の球団施設で練習。日刊スポーツの問いかけに、父になった喜びを話してくれた。【取材・金子真仁】

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-コングラッチュレーション!

エンス アリガトウゴザイマス!

-生まれたのはいつですか?

エンス (米国時間の)5月20日です。20日の朝5時くらいに生まれたんですけど、私が病院に着いたのは昼の3時くらい。立ち会いたかったですが、10時間くらい間に合わなかったです。破水の連絡をもらったのが(日本時間)19日の夜で、次の日の朝しかフライトの選択肢がなくて。

-では出産の時間は空の上に?

エンス 飛行機のフライト中、ずっと楽しみで仕方なかったですね。

-病院に着いて赤ちゃんを見た瞬間の気持ちは?

エンス 言葉に表せないくらいの感情でしたね。本当にすごくハッピーでしたし、すごく感情的というか…うれしかったです(※右目から涙がこぼれるしぐさをする)。

-以前の取材では出産まで男女どちらか分からないスタイルを選んだと話していましたね。

エンス はい。性別が分かっていなかったので、最初に病室に入って、妻が女の子を抱えていて。そのシーンは本当にうれしかったですね。

-父になった心境は?

エンス 見ているだけで、眠っているだけで、抱っこしているだけで、私たちを幸せにしてくれます。もちろん、新しい責任感もわいていますし、今まで経験したことのない感覚を持っていますね。

-お名前は?

エンス ポピーと名付けました。いろいろ考えて、最後は妻が選びました。

-西武の仲間たちはどんな反応でしたか?

エンス まずは何よりもライオンズの球団本部、フロント、首脳陣の皆さんが、自分がやりたいこと、出産に立ち会うことに対して理解してくださって、許してくださって。そういう機会を与えてくださったことに、すごく感謝したいと思います。日本に戻ってきてもちろん報告もしましたし、みんな同じように喜んでくれて。みんなにうれしく報告できることもうれしいね。みんなが自分のために祝福してくれているのもすごくありがたい。一緒にお祝いできて良かったです。

-出産後数日で離れるのはやっぱり寂しい気持ちも?

エンス 26日夜に再来日しました。(父の気持ちとして)難しい出発ではあったんですけど、妻の方がより大変だと思います。1人で赤ちゃんの面倒を見なきゃいけない状況なので。ただ、ありがたいことに今はビデオコールとかでしっかり様子を見ることはできるので。数カ月後に2人が一緒に来日してくれることがすごく楽しみです。

-今季はここまで1勝6敗。父親になって野球にもいい刺激が?

エンス そうなるよう、自分はベストを尽くし、努力します。アメリカでは「ダッド・ストレングス」(お父さんパワー、父は強し、の意味)という言葉も野球界にあるので。今のところ状態は悪いとも思ってもいないですし、いろんなことがうまくかみ合えば、本当にいい結果につながっていくはず。残りのシーズンをすごくいいものにしていければなと思います。