日本ハム新庄剛志監督(51)が就任2年目にして、初めての“貯金”だ。巨人を相手に今季初の2桁得点で快勝。「8番投手」に組み込んだ先発北山亘基投手(24)が適時打2本など投打で活躍し、不振だった野村佑希内野手(22)には「魔法の言葉」で復活させて6号3ランを誘発。打つ手がズバズバと当たり、交流戦は2カード連続の勝ち越しとなった。チームは借金4だが、得失点差は3年ぶりにプラス転化。新球場元年の日本ハム新時代が、本格覚醒を始めた。

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新庄監督は試合前に不振が続いていた野村を呼んで、魔法の言葉を伝えた。「世間はそんなに君のこと気にしてないよ。笑っていこうよ」。3日はスタメンから外し、途中出場も2三振。「ああいう結果だったからこそ、今日試合で結果を残してもらおうっていう性格なんで」と6番でスタメン復帰させると、3回に6号3ランが飛び出した。「本当に放り込みやがった。期待に応えてくれるわ~」と、笑顔で振り返った。

新庄監督も魔法の言葉に乗っかって打線を組んだ。「八木さん(八木打撃コーチ)の案で。『8番で行きましょう』って」と先発の北山を8番に入れた。すると2回2死一、二塁でプロ初打席の北山に打順が回った。指揮官は「八木さん!」と心でツッコミを入れ、八木コーチも「失敗したなと思ったね」。観念しかけたが、「8番北山」の采配がズバリ的中した。

カウント2-2からファーストスイングで左前適時打。北山は「(打撃の)記憶が高校野球で止まってるんで」と言いながらも、「コンパクトにイメージしてバットを出したら当てられるかなぐらいの気持ちで」と、6回にも3番手の鍬原から中前適時打。2安打2打点、投げても7回3失点で3勝目だ。

試合中から北山の巧打に跳びはねて喜んでいた新庄監督も「調子悪いバッターは北山君にバッティング聞いてこい。打つ気を出してバットを出したらポテンヒット打ったりね。あれが基本だと思うんだよね、オレ」と絶賛。その後は長打もスクイズも飛び出す新庄野球の面白さ全開で、今季初の2桁得点で大勝した。

チームはまだ借金4だが、得失点差では「プラス5」となった。球団では3年ぶり、もちろん新庄監督も初めての“黒字”収支だ。世間の評価にブレず、昨季から突き進めた優勝のためのチームづくりは、確かな進化を見せ始めた。【木下大輔】

▼北山が2本の適時安打を放って交流戦初勝利。交流戦で1試合に2本の適時安打を記録した投手は09年6月6日福原(阪神)10年5月15日涌井(西武)16年6月5日ディクソン(オリックス)に次いで4人目。過去の3人はそれまで打席を経験していたが、北山は初めて打席に立った試合で打った。ちなみに、日本ハム時代の大谷は登板試合で2本の適時安打はなく、日本ハム投手が1試合に2本の適時安打は74年8月7日ケキッチ以来になる。

▽日本ハム野村(花咲徳栄の同級生、巨人松井から6号3ラン)「1軍の舞台で対戦できて本当にうれしく思うし、ここまではい上がって来ているのもすごい。(新庄監督の)指示通り気を楽にして行った。きっかけにしていければ」

○…日本ハムのガッツマン細川が、同じ京都出身の北山をバットで援護した。2回、同点適時打の北山に続き、2死一、三塁から右翼線へ勝ち越しの適時二塁打を放つと、またしても北山が適時打を放った6回には無死一、三塁で完璧な初球スクイズを決めた。下位打線の“京都コンビ”が大活躍。「ピッチャーが打って野手が打たないわけにはいかない。すごいプレッシャー」と、爽やかに笑った。

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