大商大(関西6大学)が高(たか)太一(4年=広陵)の好投で2年連続の8強入りを決めた。花園大(京滋)との関西対決に完勝した。

「めちゃくちゃ緊張しましたが、楽しかったです。何より、チームが勝てたことがうれしい」。プロ注目の最速151キロ左腕が久しぶりの笑顔を見せた。

「思ったより(球速が)出ていた」という最速147キロの速球を中心に、5種類の変化球を交えて、的を絞らせなかった。7回に1点を失ったところで降板したが、4安打、1四球、6奪三振の内容に「復帰戦にしてはよかった」と満足げな表情を見せた。

左肘の不調のため、4月23日の京産大戦後に戦線離脱。投げられない期間はチューブトレーニングや肩、股関節などの柔軟性向上に努めた。チームが苦しかったリーグ戦のヤマ場で戦力になれず「5月は投げられなくてイライラしていた。今日は全部ぶつけてやろうと思って投げました」と胸の内を明かした。

周囲に支えられた。広陵(広島)の同期で同じドラフト候補左腕の明大・石原勇輝が癒やしだった。気晴らしや相談のために電話すると、いつも「大丈夫だよ」と明るく言ってくれた。高校・大学とも後輩の福島孔聖投手(2年)も話し相手になってくれた。

ここまで2試合は東京ドームで戦った。都内ホテルで同部屋のエース上田大河投手(4年=大商大高)からは「神宮で投げさせてくれよ」と毎晩お願いされていた。準々決勝からは会場がすべて神宮。盟友との約束も果たした。

広島鞘師智也スカウト(43)は「能力が高く、いいボールを持っている。左だし、楽しみな素材」と熱視線。今大会を視察している巨人桑田真澄ファーム総監督(55)も「きれいなフォームでストライクを取るのに苦労しない。チェンジアップもいいですね」とうなずいた。

昨年は準々決勝で敗退。大商大は春も秋も全国準優勝が最高だ。「神宮に忘れ物を取りに行くためにこの1年やってきた。出番があれば全力で腕を振ります」。悲願の頂点へ力強く誓った。