「ヨコハマ、サイコッチョー!!」。DeNAトレバー・バウアー投手(32)が来日初完投で4勝目を挙げ、歓喜の第一声が本拠地の夜空に響いた。「日本生命セ・パ交流戦」の日本ハム戦に今季初の中4日で先発し、3安打1失点にまとめ、1人でマウンドを守った。113球、12奪三振とも来日最多。試合前には米メディアで新たな性的暴行疑いが報じられたが、マウンドに立てば気迫満点の投球で、「ソード(刀)セレブレーション」の決めポーズも披露。交流戦は3戦3勝の勝負強さで、チームの1位堅守に貢献した。

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サイ・ヤング賞右腕が「最高潮!」でギアをトップに上げた。2-1の9回2死三塁、バウアーは加藤豪の3球目にこの日最速156キロ直球で空振りを奪って追い込むと、最後は外角高め133キロスライダーで見逃し三振。雄たけびを上げて、捕手伊藤と抱き合った。9回完投勝利は、インディアンス(現ガーディアンズ)時代の19年6月16日タイガース戦以来。今季両リーグ最短2時間8分の試合時間で仕事を終え、「最後まで投げきってキャッチャーとハグをするのは本当に久しぶり。素晴らしい気分だった」と喜んだ。

ハマスタで3度目のお立ち台では「ヨコハマ、サイコッチョー!!」とやや声を裏返らせ、ジェスチャー付きで叫び、球場を沸かせた。お笑いトリオ「ジャングルポケット」おたけのギャグ。誰に学んだかは「ぜひ、日曜日のブログをお楽しみに」と明かさなかったが、根底にはファンを思う姿勢がある。

初登板初勝利の5月3日広島戦後のお立ち台では、「ヨコハマシカカタン」と叫び、2勝目を挙げた6月3日西武戦の後は「ヨコハマ、ダイスキ!」と第一声。米国では試合後、メディア向けに応じることはあっても、ファンに向けた「ヒーローインタビュー」はほぼない。「日本の野球観戦で、アメリカより優れていることの1つ。お客さんが選手と交流、掛け合いではないけど、選手の生の声を聞く機会はなかなかない。ヒーローインタビューは素晴らしい」と、日本野球の「文化」をたたえた。

「本業」でも盛り上げた。味方が2点を先取した直後の6回2死、アルカンタラを空振り三振に仕留め、刀をさやに収める「ソードセレブレーション」を披露。最多12奪三振には「目標より15個少ないね」と笑ったが、「イトウの素晴らしいリードのおかげ」と感謝。「ただ首を振って投げたボールで(万波に)ホームラン打たれている。あれが一番良くなかったね」と、初登板から7戦連続被弾を自虐的に振り返った。

これで自身もチームも3連勝で交流戦首位タイをキープ。3戦3勝でMVP候補にも浮上した右腕の力投で、初優勝がくっきりと見えてきた。【鈴木正章】

○…6年目助っ人のソトがバウアーを援護する決勝打を放った。0-0の5回無死二、三塁。日本ハム先発加藤貴から中越えに先制の2点適時二塁打を放った。「最低でも犠牲フライ。しっかり自分の仕事をしようと。結果的にヒットになってよかった」と喜んだ。初完投のバウアーには「本当に素晴らしい投球。どの球種も機能していて、後ろで守りやすかった」と、力投をたたえた。

▽DeNA三浦監督(バウアーの力投に)「しびれましたね。(伊藤)光とのコンビも試合を重ねるごとによくなっている。9回はアドレナリンが出ていたと思います。バウアーにとっては中4日が普通。最高のピッチングを見せてくれた」

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