高橋宏も撃った! 敗戦の中、またも阪神前川右京外野手(20)が光り輝いた。高校時代からのライバルで、1学年上の中日先発高橋宏からマルチ安打を決めた。初回2死の第1打席で154キロをとらえ、投手の頭上を越えて二遊間を破った。6回1死一、二塁でも右腕の152キロを中前に運び、甲子園を沸かせた。

「2本打てたのは良かったかなと思います。高校の時からすごかったので、プロの1軍で対戦できてうれしかった。対戦できたのがよかったなと思います」

プロ入り前からからしのぎを削ってきた。コロナ禍で春夏の全国大会が中止された20年。8月12日の甲子園交流試合で対戦した。前川は智弁学園の中軸で、高橋宏は中京大中京のエース。前川が右前打を放てば、高橋宏も見逃し三振を奪うなど、3打数1安打1三振と互角の戦いを演じた。プロ入り後は昨年3月の教育リーグで対戦し、高橋宏に無安打に抑えられた。その時、プロでの再会を喜び「頑張ろうね」と声をかけ合った。もちろん今回は前川がリベンジする番だった。

試合前から高橋宏に「いい3番打者。全力で打ち取りたい」と言わしめ、誰よりも本人同士が楽しみにしていた真剣勝負。右腕は試合後「マジで、いいバッターでした。えぐい。すごいバッターやった」と脱帽し、新たな竜虎ライバル対決の始まりを予感させた。

前川は3番で先発した全6試合で安打を放ち、打率も3割1分4厘まで上げた。だが、敗戦が何よりも悔しい。「チームが負けたので勝たないと意味がない。明日また、頑張ります」。新たな刺激を胸に勝利の一撃を放つ。【三宅ひとみ】

◆高校時代の前川VS高橋宏 新型コロナウイルス流行のため中止になった、夏の甲子園に代わる交流試合で対戦した。中京大中京のエース高橋宏は、抜群のスタミナで11奪三振。9回2死から、この試合最速の153キロをたたき出した。智弁学園の4番前川は、高橋宏と4打席対戦し3打数1安打、1死球。8回に右前に安打を放った。試合後に前川は「最後の夏ということで、すごい球を投げているなと。自分も負けないって、真剣勝負を楽しめました」と充実の表情。一方の高橋宏も「変化球で打たれたら、悔いしか残らないなと思っていたので、一番自信のある直球中心でいきました」と満足げだった。

【球宴】阪神が全部門1位独占!最多10人選出「阪神ファンすごい」最多得票近本光司も仰天