全パの先発としてマウンドに上がったロッテ佐々木朗希投手(21)が、球宴で初めての三振を奪った。1回打者4人に1安打2奪三振の無失点。この日の最速は161キロで、球宴記録163キロの更新こそならなかったが、2年連続でのファン投票選出に応える快投だった。

佐々木朗が球宴初の三振を奪った。WBCで一緒に世界一を果たした阪神中野に156キロの直球で初球を投じると、3球連続フォークで空振り三振。歯を見せない程度に口角を上げ、少しだけうなずいた。

続く秋山にはフルカウントから138キロの内角スライダーで連続空振り三振。メジャー経験者の粘りには、WBCでメジャー屈指の変化球を操るパドレス・ダルビッシュに学んだ新たな武器を。「三振とれましたし、良いボールだったなと思います」。全国のプロ野球ファンに披露した。

連続三振-。当然、すごい。でも、これは佐々木朗の日常でしかない。球場もテレビの前のファンも、なんだか物足りない。スタンドが一番湧いたのは3番ノイジーへの5球目。この日、15球目だった。バンテリンドームの電光掲示に「161キロ」。始めて大観衆がどよめいた。続く161キロ直球は中前に安打を許し「三振をとりにいったんですけれど…。良い選手です」。首をひねり右腕で顔の汗は拭った。無失点の最低目標は果たしたものの、今季は日常になりつつある164キロ以上の球宴最速記録更新は持ち越した。

今年と同じファン投票1位で初出場した昨年は、162キロをマーク。14年に日本ハム大谷翔平(現エンゼルス)が記録した球宴での日本人最速タイを記録した。23球中、21球が直球。3安打を浴び、阪神佐藤輝の左犠飛で1失点。今年はペナントレース同様にフォーク、スライダーも交えて、無失点にこだわる投球を誓ってのマウンドだった。

試合前には昨年までチームメートだったソフトバンクのオスナやオリックス山下と記念撮影する程度で交流はほとんどなし。「先発だったのでまだ(他の選手と)話せていないので、これからたくさん話したい。(話したいのは)山下選手。カーブとか特にすごいので。聞けたらいいなと思います」。選手間投票1位選手の若手有望株から、さらなる吸収を図り、自身の球宴土産も持ちかえる。【鎌田直秀】