ソフトバンクの来日5年目右腕、カーター・スチュワート投手(23)が来日初勝利を挙げた。敵地オリックス戦で6回102球を投げ、6安打1失点(自責0)。18年に全米ドラフト1巡目指名を受けた金の卵が、NPB通算16試合目で記念すべきプロ1勝をつかんだ。チームは24日まで泥沼の12連敗を喫したが、首位オリックスとの大阪決戦で2連勝。最大「8」あったゲーム差を「6」に縮め、反撃態勢に入った。

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来日5年目。流ちょうになった日本語で、スチュワートは喜びを表現した。「ミナサン、アリガトウゴザイマス。ガチデ、ガンバリマス!」。鳴り物入りで海を渡ってきた剛腕が、NPB通算16試合目で来日初勝利を挙げた。

顔に生やしたひげは「威圧感を与えるため」。意気揚々とオリックス打線をねじ伏せた。1回、3番中川圭への5球目にこの日最速の159キロを計測。「初球から全力でいこうと思っていたからね」。失策が絡んで先制点を献上したが、2回以降は無失点にまとめ、6回6安打1失点(自責0)。堂々たる結果でウイニングボールを手にした。

18年に全米ドラフト1巡目指名を受けたが、交渉が難航して契約合意に至らず。19歳だった19年、ソフトバンクと異例の6年契約を結んだ。「世界一の球団」を目標に掲げるホークスにとって、全米ドラ1右腕を10代の頃から契約して育てるという新たな試みは、未来へのロールモデルとしての期待も大きかった。

初勝利まで5年かかり、本人も「もっと早く勝てたら」と話した。時間を要した分だけ、金の卵をふ化させた事実も尊い。「しっかり自分の目標を持ってやれば、必ずこういう日がくると証明できたと思う」。スチュワートに自信もつき、球団の育成も報われた。

直球の回転数は2700超。メジャー一線級投手と同等かそれ以上の数値だ。米スカウトも熱視線を送るが、花開いた右腕に球団は契約延長を検討しているという。2軍時代を知っている藤本監督も「だいぶ成長したかな」と目を細めた。

チームは24日まで12連敗を喫したが、20日ぶりに2連勝。首位オリックスを連倒して6ゲーム差に迫り、反撃態勢に入った。スチュワートは「連敗した分、連勝する」とチームの思いを代弁。「つなぐことができたのでうれしいね」。真夏の反攻のシンボルになる。【只松憲】

◇カーター・スチュワート・ジュニア

◆歩み 1999年(平11)11月2日生まれ。米フロリダ州出身。エウガリエ高3年時に61回2/3で防御率0・91、128奪三振をマーク。18年6月のドラフトでブレーブスから1巡目(全体8位)指名を受けたが交渉が難航。契約合意に至らず19年5月にソフトバンクと6年契約を結んだ。代理人はスコット・ボラス氏。

◆球種 最速160キロに迫る直球に、ツーシーム、フォーシーム、カーブ、チェンジアップ、スライダーを投げる。スライダーの回転数は3000回転超。

◆趣味 ゴルフを3歳で始め、日本にも愛用のクラブを持ってきた。入団時には「ベストスコアは65」とサラリ。ドライバーでは巨体を生かして360ヤード以上をかっ飛ばす。他にもボウリングのベストスコアは246で、卓球も得意。バットでは高校時代は26試合で10本塁打を放った。

◆サイズ 198センチ、101キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸は1億1000万円。

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