怪人ブーマーが、日本に凱旋(がいせん)した。阪急(現オリックス)で84年に外国人初の3冠王に輝いたブーマー・ウェルズ氏(69)が3日、京セラドーム大阪でのオリックス-楽天戦の試合前に始球式を行った。

今回の来日は、一般社団法人日本プロ野球外国人OB選手会(JRFPA)の招きによって実現したもの。20年にも計画されたが、新型コロナウイルスの影響で中止となっていた。

現役当時は200センチ、100キロ。球史に残る巨漢として、ファンに絶大な人気を誇った。のっしのっしと歩く様は、現役時代そのままだ。外国人の後輩セデーニョを捕手に、そして背番号44の後輩頓宮を打席に立たせて投球すると、観衆から盛んな拍手が沸き起こった。

投げ終えた後で、自身が出演していた湿布のCMを引き合いに出し「肩が痛い。パスタイム下さい」とにっこり。打者役の頓宮に「いずれ3冠王を取れるような打者に育ってほしい」。セデーニョには「引っ張るだけでなく、広角に打ち返すといいよ」と温かいまなざしを向けた。

現在は米ジョージア州で、2人の孫らと悠々自適の生活を送っている。たまに近くの高校生に打撃指導を行う程度だが「職場復帰」への意欲は満々。「野球に関わる仕事がしたいね。オリックスからスカウトの話があれば、喜んで受けるよ」と売り込みも忘れなかった。

これに先立ち京セラドーム大阪内で行われたイベントでは、約50人のファンを前に軽快なトークを展開。「阪急のキャンプ地高知は、フロリダのような南国だと聞いていた。でも空港に降りたら雪が降っていて、びっくりした」「近鉄戦で、体に近いところに投げられてカッとなった。そこでレフトスタンドをバットでさして『ホームランを打つ』と予告してやった。そして実際に打ったのが一番の思い出だよ」と当時を懐かしんでいた。