ソフトバンクが26日のドラフト会議で国学院大の最速153キロ左腕・武内夏暉(なつき)投手(4年=八幡南)を1位指名することを公表した。25日に都内で行われたスカウト会議終了後、小久保裕紀新監督(52)が明言した。すでに西武が武内の1位指名を公表し、ロッテ、日本ハム、ヤクルトも参戦見込みで競合は必至。それでも地元福岡県出身の即戦力左腕に“ポスト和田”の期待は大きく、小久保監督が不退転の覚悟で運命のくじ引きに臨む。

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「ドラフト1位が決まって『しゃべってくれ』と言われたので」。フェニックスリーグの指揮を執っていた宮崎から空路東京入り。ドラフト前日のスカウト会議を終えた小久保監督は、笑みを浮かべて明かした。「武内夏暉くん、国学院大学」。福岡・北九州市出身で最速153キロの本格派左腕。指揮官は「どのスカウトに聞いても一番評価が高い。そういう選手は間違いないでしょう」と期待を膨らませた。

24日に西武も武内の1位指名を公表し、この日はロッテ、日本ハム、ヤクルトも参戦することが濃厚になった。1位を公表していない球団もあり、さらに競合倍率が上がる可能性もある。それでも地元の即戦力左腕獲得を目指すことを決断した。永井智浩編成育成本部長兼スカウト部長(48)は「西武さんが先に公表されていましたけど、それをもってしても、やはり武内くんじゃないかという評価で決めました」と説明。公表理由についても「この後も迷うなら公表しなかったと思いますが、もう変えないので」と言い切った。

先発左腕はチームの補強ポイントに合致し、ポスト和田の期待が高まる。今シーズンは12球団で唯一、規定投球回に達した投手が不在。2桁勝利も10勝をマークした有原だけで、左腕はベテラン42歳の和田が8勝、開幕投手の大関は5勝と先発勝利を挙げたのは2人しかいない。

武内は今秋の東都リーグでベストナインと防御率0・97で最優秀防御率を獲得。10試合で5勝(2敗)をマークした。永井スカウト部長は「(来年1軍のローテーションに)入れるんじゃないかなと思います。腕の振りと球速がマッチしていないので、当然バッターは差し込まれる。それは武内くん独特のもの。あと九州出身というのは大きな部分があったし、特に福岡なので」と期待の大きさを明かした。

1位指名が競合して交渉権を獲得したのは、16年の創価大・田中正義(現日本ハム)が最後で、くじ引きは17年から“7連敗中”と分が悪い。それでも監督就任後初の大役を務める小久保監督は「(験担ぎは)全然ない。縁があればと思います」と泰然自若。4年ぶりV奪回へ、タカの恋人を射止める。【只松憲】

 

◆武内夏暉(たけうち・なつき)2001年(平13)7月21日、福岡県北九州市生まれ。折尾東小3年で軟式野球を始め、折尾愛真中では軟式野球部に所属。八幡南では県4回戦が最高成績。国学院大では2年秋から東都リーグ戦に出場。3年秋は4勝を挙げて優勝に貢献し、MVPに選ばれた。大学通算は登板36試合で14勝7敗。185センチ、90キロ。左投げ左打ち。