阪神岡田彰布監督(65)は、26日の「プロ野球ドラフト会議supported by リポビタンD」の1位候補として「右投手」を指名する可能性を示唆した。25日、都内のホテルで行われたスカウト会議に参加。予定通り1位は公表しなかったが、右腕では最速155キロの中大・西舘勇陽投手(4年=花巻東)が有力とみられる。他球団の動向をチェックしつつ、ギリギリまで熟考を重ねる。

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岡田監督は開口一番、「何も決まってへんよ」と言い切った。緑色のジャケットとネクタイをビシッと決め、ドラフト前日スカウト会議に参加。今月中旬に「分かってたらおもろないやんか」と他球団を含めて公表しない仰天プランを提案した通り、1位指名を明かさなかった。

1位指名のポジションについては「今年は野手、いないんやろ? 目玉ていうかな。やっぱりピッチャーになるよな」とあらためて投手の指名を示唆した。最高評価は「4~5人くらいやろ」。即戦力については「そんなんいらんやんか。やっぱいい素材っていうかな、当てがいがある、能力が秀でているてゆうか、そういうの取るとゆうことやからな」と説明した。

指揮官としては「右投手」の指名を要望した。先発では伊藤将、大竹、中継ぎでは岩崎、岩貞、桐敷、島本ら左腕が充実しており、「うちは左おるからな。左はいけへんと思うよ。やっぱり右やで。わからんけど」とニヤリ。明言は避けたが、右腕に限れば中大・西舘の1位指名が有力だ。

西舘は直球の最速155キロと威力抜群で、制球力の高さにも定評がある。コントロールを重視する指揮官にとってもポイントが合致する。昨年高松商・浅野を1位指名で競合した宿敵巨人も同右腕の1位指名が最有力で、2年連続のくじ引きになる可能性も十分にある。1年越しのリベンジの機会となりそうだ。

くじ引きについては「“俺が引く”っていうのが(球団に)いてる?」と2年連続で自ら出陣する構えで、右手か左手かは未定だ。左腕の1位入札候補としては競合必至の国学院大・武内夏暉投手、桐蔭横浜大の古謝(こじゃ)樹投手も視野に入れる。外れ1位の候補には制球力のある最速155キロ右腕の青学大・下村海翔投手が挙がっているもよう。ギリギリまで他球団の動向を伺いつつ、当日に「虎の23年ドラフト1位」の決断を下す。【古財稜明】

◆西舘勇陽(にしだて・ゆうひ)2002年(平14)3月11日、岩手・一戸町生まれ。一戸南小3年から野球を始め、一戸中軟式野球部では全国大会出場。花巻東(岩手)では1年夏からベンチ入りし、3度の甲子園出場。中大では1年秋にリーグ戦デビュー。3年春までは救援を務め、同年秋からは先発に本格転向しリーグ最多の5勝を挙げ、初のベストナインに輝く。今秋は9月22日の亜大戦で1安打無四球完封の打者28人で打ち取る「準完全投球」を披露。阪神森下は中大の1学年先輩。最速155キロ。185センチ、79キロ。右投げ右打ち。

◆阪神VS巨人ドラフト最上位1回目入札での競合 阪神と巨人が競合したのは過去8度あった。初対決は66年1次ドラフトで、江夏豊(大院大高)に競合。計4球団が入札したが、阪神が獲得した。92年には松井秀喜(星稜)にともに入札したが、4球団の争いを制したのは巨人の長嶋茂雄監督だった。また昨年は浅野翔吾(高松商)を巡り、阪神VS巨人が史上初の一騎打ち。原監督と岡田監督がくじ引きに臨み、原監督が当たりくじを引き当てた。