初のクジ引き役を務めた日本ハム新庄監督だったが、巨人阿部監督との一騎打ちは前代未聞の“クジ未開封”で完敗だった。

1位指名で中大の西舘をめぐって競合。かつてテレビ番組「オーラの泉」で「俺の右手から金粉が18メートル出てるんだって」と言われた“強運の右手”でクジを引き、そのまま左胸に当てたまま、じっと阿部監督がクジを開封するのを待った。「(阿部監督が)喜ばなかったら、僕(が当たり)でしょ? そこで6メートルぐらい跳ぼうかなと思って、準備をしていたポーズです」。だが歓喜の跳躍はならなかった。

その後はクジ運の悪さに自ら大役を降板したが、小村社長が外れ1位で大阪桐蔭・前田を外し、三度目の正直で稲葉GMが大型左腕の東洋大・細野を引き当てた。

「もう、トラウマ。2分の1を外したんだから」と嘆き「なんで~? (“交渉権獲得”の)ハンコの分、厚みあったのよ。0・02ミリ。めちゃくちゃ自信あったんですけどね」。結果的に大学球界を代表する大型左腕を獲得できたが「『持ってんな』と思って、ちょっと腹立った(笑い)」と、クジを当てた稲葉GMに嫉妬。楽天の石井取締役シニアディレクターの現役時代に「モロ(似ている)」という細野に「本人は(外れ外れ1位で)悔しいと思うよ。その気持ちが、ものすごくうれしい」とエールを送った。【中島宙恵】