星槎道都大の最速153キロ左腕、滝田一希投手(4年=寿都)が、広島からドラフト3位指名を受けた。指名の瞬間、目を潤ませた。会見では、ほっとした表情をみせながら言葉を発した。「こんなに早く呼ばれるとは思っていなかった。いろいろな人に支えられてこの4年間ちゃんと野球をやってきてよかった」とかみしめた。キャンパス内で約120人のチームメートに囲まれながら胴上げされ祝福を受けた。

知名度が高い投手ではなかった。寿都高時代の最速は138キロ。恩師たちの教えが今の土台になっている。高校入学後、約2年間は青山亨監督(54=現札幌東豊高教諭)に精神的な部分を指導された。高校3年時には永井大元監督(50=現根室高教諭)に「いずれ芽が出るように頑張ろう」とトレーニングに励んだ。大学では元プロの二宮至監督(69)のもと力をつけ、滝田は「今まで会ってきた方々みなさんに感謝したい」と口にした。

家族の支えもなければ、野球を続けてくることができなかったかもしれない。6人きょうだいの5番目。昨年5月に母美智子さん(享年53)が亡くなった後、特に次女優衣さん(27)は食事面などの面倒を見てくれた。大好物のオムライスをよくつくってもらった。

母を亡くした悲しみもあったが「きょうだいみんなつらかったけど、みんなで報われた1日でした。ここまで支えてくれてありがとうと伝えたい」。指名された広島については「熱いチーム。スタートラインに立てたので投球でも熱くなれるように」と、夢舞台でプレーする姿を思い描いた。【山崎純一】