外れ外れの1位で楽天から指名された桐蔭横浜大・古謝樹投手は、憧れの大投手とチームメートになる縁を喜んだ。

「田中投手の日本一シーンを見て、プロ野球選手への熱が上がりました」。小学6年生で見た楽天初の日本一。田中将が先発と抑えでフル回転する姿に、プロへの思いを強くした。東北は仙台どころか今夏の青森キャンプで初めて訪れただけだが、「自分も子どもたちに夢を与えられる選手に」と決意した。

最速153キロ左腕も高校時代までは無名で、横浜高の名コーチだった小倉清一郎氏から指導を受け、投球フォームの基礎をたたき込まれた。大学入学後に体重も約15キロアップし、今年は同大から初の大学全日本入り。日米大学野球では「キレのある真っすぐで空振りを奪えて自信になった」と、同大から投手では初の1位指名につなげた。

雪国への抵抗感はない。母が豪雪地帯で有名な新潟・十日町市出身で、毎冬のように母の生家を訪れて雪かきを手伝った。自然と足腰も鍛えられ、ブランド米「魚沼のコシヒカリ」で体を作った。契約金の使いみちを問われると、「チュッパチャップスを大人買いしたい。ラムネ味が好き」と笑顔。「プロ入りのため1年間、何か好きなことを一つ断つ」とした炭酸飲料も指名後に解禁し、仲間と祝杯を挙げた。【中島正好】