12球団最速公表&最速あいさつ。広島新井貴浩監督(46)が26日、「プロ野球ドラフト会議supported by リポビタンD」で、事前に公表していた青学大・常広羽也斗投手(4年=大分舞鶴)を1位指名し、楽天と競合の末、交渉権を獲得した。宣言取り右腕で当たりくじを引き当てた。会議中に会場を飛び出し、12球団最速で指名あいさつを行った。優勝を狙う来季に向けて大きなピースを手に入れた。

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会場に「よっしゃー!」という叫びが響いた。新井監督は「交渉権獲得」をつかみ取った右手を突き上げ、喜びを爆発させた。「何年後かにはチームの中心、チームの核になれる、そんな素材を持った素晴らしい投手」。そう認めた逸材の青学大・常広。覚悟した競合は楽天との一騎打ちとなり、宣言通りに右腕で運命の赤い糸をたぐり寄せた。

「おそらく競合するだろうと思っていましたし、くじでも何でも来いという気持ちでした。興奮しました」

抽選箱へ向かう途中、先に抽選で中大・西舘の交渉権を引き当てた巨人阿部監督の体を触って登壇した。前日25日に「験を担がない」と言いながら、思わずすがった。早く登壇したため、楽天今江監督を待つ時間が生じるも「それも作戦のうち。自分の流れに引き込むという私の作戦のひとつです。焦ったけどね」と豪快に笑った。

名字にも縁を感じた。「“常”時、“広”島。常に広島ですから。もうこれは、ご縁を感じずにはいられませんでした」。1位で意中の選手を獲得できたことで、2位以降もシミュレーション通りに指名できた。「高君はすごく投げっぷりがいいし、滝田君はすごく腕の振りが良くて、チェンジアップがいい。仲田君はヘッドの使い方が上手。赤塚君も打てるものなら打ってみろというマウンド上での雰囲気もいい」。事前に指名候補全選手の資料と映像を確認して把握しているだけあって、すらすらと選手評を口にした。

ドラフト会議中には会場を飛び出し、青学大に向かった。1位指名公表に続き、12球団最速での指名あいさつ。思いを伝えたかった。広島の帽子をかぶせ、手渡した当たりくじにはサインとともに「感謝」の言葉を添えた。6年ぶり優勝を狙う監督2年目の来季へ向けて、重要なピースを手に入れた。【前原淳】

▽広島松田球団オーナー 最高だよ。監督に感謝。終わった後、みんなで監督に拍手したよ。一番が決まればうまいこといく。

▽広島白武スカウト部長 1位が当たると、後がスムーズだった。予定通り。いいドラフトだった。100点のドラフトだったのではないかな。