ソフトバンクからドラフト3位指名された慶大・広瀬隆太内野手(4年=慶応)について、堀井哲也監督(61)が4日、秘話を披露した。

同監督が広瀬からプロ志望を告げられたのは、昨年の夏ごろだった。入学時から「打球スピードと肩の強さ」から、間違いなくプロ野球に進むだろうと思っていたため、驚きはなかった。1年秋にレギュラーを獲得し、それは確信に変わっていた。社会人野球で監督を務めていた時代の教え子に重ね「谷佳知(三菱自動車岡崎からオリックス)、田中広輔(JR東日本から広島)レベルになれる」と素質を見込んでいる。

プロ野球で成功するには、体の強さが大事だ。アマチュアと違い「143試合ありますからね」と言う同監督が感心したのは、明大戦のこと。前日の試合でスライディングし負傷し「肩が上がりません」と申告してきた。だが、翌朝になるとテーピングをグルグル巻きにして「アドレナリンが出て、いけます」と宣言。2種類用意していたメンバー表は、提出期限3分前に広瀬の名前が入ったものに差し替えられた。すると試合では本塁打を放ってみせた。広瀬の父崇さんは早大ラグビー部出身で、堀井監督は「だから体が強いのか」と合点がいったという。

堀井監督は、アマチュアから多数のプロ野球選手を送り出している。そんな名伯楽が「3位ですけど(ソフトバンクは)お買い得だと思いますよ」と広瀬の活躍には太鼓判を押した。プロでも珍しい「長打力のある二塁手」だが、プロの評価を高めるためではなく「肩がいいのでゲッツーが取れる」という理由でセンターラインのポジションを決めた。三塁、一塁を守らせる機会も多かったのは、あくまで「チーム事情」だったという。

岡田彰布(早大=現阪神監督)に並ぶ東京6大学リーグ歴代4位の通算20本塁打で、182センチ、91キロという大型二塁手。プロで、どんな成長曲線を描くのか楽しみだ。【斎藤直樹】

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