富士大(東北代表)が青学大(東都代表)に3-4で敗れ、今春の全日本大学野球選手権準決勝で2-5と敗れたリベンジは、かなわなかった。

2-4で迎えた8回無死、春の青学大戦でもソロ本塁打を放った麦谷祐介外野手(3年=大崎中央)が左越えソロ本塁打を放つなど2安打2打点。広島ドラフト1位常広羽也斗投手(4年=大分舞鶴)から6安打3得点を挙げたが、あと1歩及ばなかった。

ドラ1キラーだ。今春の全日本大学野球選手権準決勝で阪神ドラフト1位の下村海翔投手(4年=九州国際大付)からソロ本塁打を放った麦谷はこの日、常広から3-4と1点差に迫る反撃弾。「とにかくつなごうという気持ちだった。真っすぐが来るかなと思ったので、強くいこうと」。5球目、146キロ直球を振り抜き、左越えソロ。麦谷は人さし指を高く突き上げ、ダイヤモンドを1周した。

同校初の神宮大会決勝進出へベンチの雰囲気も最高潮を迎えたが、その後はギアを上げた常広を仕留めきれず。麦谷は「(春の)ベスト4のうれしさより、青学さんに負けた悔しさを大事にして練習に取り組んできた。勝ち切れなかったことが非常に悔しい」。あと一押しが足りなかった。

日本一の夢はまたしても青学大に阻まれたが、それでも実りの多い秋だった。先発の安徳駿投手(3年=久留米商)は初回から140キロ台後半を連発。3回に2点本塁打を浴びたが、自己最速を1キロ更新する151キロをマークするなど3回2安打3奪三振。2番手の角田楓斗投手(1年=東奥義塾)は、4回2失点の粘投。3番手・長島幸佑投手(3年=佐野日大)も1回を無安打投球。けがの影響もあり、4年生が誰も出場できない中で、大学3冠チームを追い詰めた。ドラ1の投手2人から本塁打を放った麦谷も来年は最上級生となる。「(本塁打は)大きな自信にはなるが、過信しないでまだまだという気持ちを忘れずに頑張っていきたい」。チームの中心となる覚悟だ。

試合後、麦谷は吉山朝陽主将(4年=美里工)から「ありがとう」と声をかけられた。「少しは恩返しできたのかな」。来年はベスト4の壁を越え、もっと大きな恩返しをしてみせる。【濱本神威】