プロ、アマ合同の日本野球規則委員会が29日、都内で開かれ、24年の公認野球規則に関し9項目の改正が決まった。

主な改正として、本塁後方のファウルゾーンの広さについて、60フィート(18・188メートル)以上を「必要とする」と定めているのを「推奨する」に変える。原本である米国の公式規則(OBR)は「recommended」となっており、その訳文の変更が検討されていた。

発端は、今年3月に開場した日本ハムの本拠地・エスコンフィールド北海道。工事が進んだ昨年11月の段階で、当該ファウルゾーンが約15メートルしかないことが問題視された。いったんは23、24年オフに規則に則った改修をすることで決着したが、3月に一転、改修なしで永続的な使用が認められた。ただし、日本ハムはNPBに野球振興協力金を支払うこととなった。

球場のそのままの使用については解決したが、問題が表面化したことでOBRの日本語訳の見直し・検討が進められた。その一環として、来年からは「推奨する」となる。これにより、同球場は規則上も明確にルールに則ったものとなる。

その他の改正として、今年のOBRから記載され、MLBで今季から採用されたベース拡大と、極端な守備シフトの禁止がある。

公認野球規則でもOBR同様、ベースの1辺を15インチから18インチへと3インチ(約7・6センチ)大きくする。ただし、日本においては、プロ、アマとも採用しないという注をつける。

極端な守備シフトの禁止についても同様。OBRにならい、公認野球規則でも、内野手は二塁ベースを挟んで左右に2人ずつ配置しないといけなくなる。ただし、これにも注をつけ、日本においては、プロ、アマとも採用しないこととする。

プロ側の友寄正人委員長は「プロでは極端な守備体形を敷くことがほとんど見られないので、採用することもない。アマも同じ意見。ベースについては、プロ、アマ両方が使う球場があり、プロが大きくした場合、アマも同じように対応できるのか」と説明した。

アマ側の桑原和彦委員長は「日本には高校や大学をのぞいても、バックネットが常設された球場は7000以上ある。ベースを変えるのは、アマからすれば非常に大きな問題だし、アマの国際大会を開催するWBSCはベースを変えていない。今回の見送りは、プロと意見が一致した」と話した。

日本の公認野球規則は通常、米国のOBR改正を受けて改正される。ただ、OBRに準じて改正はしても、実際に日本で採用するかは別問題。今回のベース拡大や極端な守備シフト禁止のように、注をつけることで採用を見送ることも少なくない。

なお、今季からMLBで採用されているピッチクロックについては、検討もされなかった。ピッチクロックはOBRに記載されたものではないからだ。ただ、友寄委員長によると、24年からOBRに記載される情報があるという。「24年に載れば、日本でも、おそらく25年に記載することになる。来年から規則委員会で議論していくことになる」と見通しを語った。もっとも、ピッチクロックも実際に日本で採用されるかは、別問題と言える。